木暮太一の「経済の仕組み」

アダム・スミスの「生きるヒント」 第12回
「なぜ自由取引が「善」なのか?」

2012年09月06日(木) 木暮 太一
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第11回はこちらをご覧ください。

 分業と資本蓄積が「富」の増産(経済発展)に必要だと考えると、それらを阻害したら、経済発展はスムーズに実現しないことになります。

 では、何が阻害要因で、どうしてそれが阻害要因となると考えていたのか?
これに関するスミスの考えを見ていきます。

人はなぜ分業するのか?

 分業を阻害するものを考えるにあたって、まず「分業を成立させるもの」を考えます。
つまり、「なぜ人は分業する/できるのか?」です。

 こう問いかけると、「人が分業をするのは、生産効率を上げるため」と考えると思います。「生産効率を上げる目的で分業をする」ということですね。

 しかし、スミスに言わせると、それは正しくありません。

 たしかに分業によって生産性が上がるのは間違いありません。しかしスミスは、人間は最初から生産性を上げることを狙って、意図的に分業を始めたわけではない、としています。つまり「分業ありき」ではなかったのです。

 人が分業をするのは、自分で作った商品を交換する場、つまり「市場」があるからとスミスは考えていました。要するに、「市場があるから分業が始まる」「市場で取引ができるから、結果的に社会に『分業体制』が広まっていく」と考えたわけです。

 どういうことか?

 一般的には、「各自が分業して違うモノを生産しているから、交換が発生する」と考えがちです。もともと各自が分業していて、自分で生産できるものが違うから、それを交換するために、市場ができあがったと考えても理屈は通ります。

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