ここでも小泉改革から逆行!「ポスト竹島」が決まらない公正取引委員会は「吠えない番犬」に先祖帰りしてしまうのか

 混迷国会のあおりを受けて、公正取引委員会の委員長が決まらない。2期10年務めた竹島一彦委員長は、9月26日に勇退するが、後任人事は国会に提示すら出来ておらず、空席となる懸念が強まっている。

「竹島公取委」がスタートした2002年は、バブル崩壊後の構造不況が続くなか、グローバル化の進展に合わせ、新自由主義のもとで競争社会を再構築しようという「小泉(純一郎元首相)改革」が始まった年だった。

 01年5月の首相就任演説で、小泉氏は「市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化、21世紀に相応しい競争政策を確立します」と述べた。その時から内閣官房副長官補として「小泉改革」を支えていた竹島氏が最有力候補だった。

完全に過去のものとなった「小泉改革」

 以来10年、「竹島公取委」は競争社会のプラットフォーム作りに注力するが、特筆されるのは05年4月に成立した改正独禁法である。これによって、談合が横行する企業環境は大きく変わった。

 改正で得た公取委の武器は、(1)犯則調査権、(2)課徴金強化、(3)課徴金減免制度の3つである。談合やカルテルに裁判所の令状を取った強制調査権で臨み、しかも経営を揺るがすほどの高額課徴金を課し、反省のうえで密告した業者は罰則を免除する、というのだから、公共工事に巣食うゼネコンを代表とする談合組織は、次々に崩壊した。

 戦う公取委を継続するのか。次の委員長に課せられた責任は重いが、公取委は逆風のなかにいる。

「小泉改革」は、完全に過去のものとなった。郵政改革に「イエス」か「ノー」かで踏み絵を踏ませた05年9月の総選挙で、自民党は圧勝、郵政民営化法案は成立したが、その熱気は去り、今年4月、民営化法は改正され、日本郵政グループは「国の金融機関」に戻った。

 大胆な規制緩和と、そこから生まれる競争は、経済を活性化させるものだったが、一方で優勝劣敗の法則によって、ひとにぎりの勝者と多くの敗者に分かれるという過酷な現実があった。「小泉改革」を支えた竹中平蔵元金融相は、「2極化の戦犯」と批判された。

 そこに追い打ちをかけるように、08年のリーマン・ショックが世界を襲う。強欲な金融資本主義が引き起こした金融危機は、実体経済にもダメージを与え、世界経済を牽引する中国など新興国が足踏みをはじめ、ギリシャやスペインなどの問題を抱えるEUは、将来展望を見いだせずにいる。

 そうした状況のなか、日本には「3・11」という特殊要因が加わった。類を見ない原発事故と津波の被害を前に、国家資本の総動員が異議なく承認され、東北復興のために20兆円が予算化、廃炉や除染に50兆円が見込まれ、被災者の支援に莫大な費用が見積もられている。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら