政治政策
解散総選挙を控えた民主党代表・自民党総裁選の候補者を品定め。意外に期待できそうな「次の首相」は誰か

 野田首相に対する参議院での問責決議可決で国会が実質的に止まり、我が国の政治の世界は、民主・自民両党の代表・総裁選挙と、遠からず訪れる総選挙後の勢力図を意識しながらの、政局ゲームの様相を呈している。

 俗に「一寸先は闇」と言われる政治の世界だが、今回は特に混迷している。同じ時期に出るニュースでも、媒体によって、「○○氏、代表選に意欲」と書くところと「○○氏、辞退の意向」と書くところがある。総選挙の当落予想に至っては(前提条件にちがいがあるとはいえ)「維新の会」が50~60議席と書く媒体もあれば、200議席超えもと煽る媒体もある。

 論じにくい状況ではあるが、候補者が絞られた投票前よりも、政策の可否や利害関係には言及しやすい。

 現時点で前提条件になりそうな「情勢」は以下のようなものか。

(1) 次の総選挙では自民党が第一党の座を獲得する公算大。従って、次の自民党総裁は首相になる確度が高い。但し、単独過半数になるかどうかは不確実。

(2) 橋下徹氏が率いる「維新」(大阪維新の会が設立するであろう新党)は、(おそらく)政党要件を満たし、次期総選挙に候補を立てる。但し、候補者の選定が遅れており総選挙まで時間が経つ方が有利になる。現時点の候補者の人材不足(知名度のある人材が足りない)からみて年内総選挙の場合、維新ないし維新系が過半数を確保するのは難しいのではないか。

(3) 次の総選挙で民主党が大敗することは、ほぼ確実。民主党の多くの議員は、出来れば総選挙を先に延ばしたいことと、不人気な野田首相以外の代表の下で選挙を戦いたいと思っている。

(4) 国民の生活が第一、公明党、みんなの党、減税日本、など、民・自以外の非左翼政党は、自民党が(民主党も、だが)次の総選挙で単独過半数を取れない場合に存在意義を持つ。

 与党である民主党では、細野豪志原発問題担当大臣が出馬するか否かが大きなポイントだろう。その判断にあたって重要なのは総選挙を先延ばしできるか否かだ。

 今秋、たとえば10月の総選挙が不可避である場合、仮に細野氏が代表になっても、選挙で負けて下野するまでの超短命内閣になる。細野氏が代表になることで、民主党の負け幅は縮むので、何人かの候補者が恩恵を受けるはずだが、細野氏個人にとっては、「負けた代表」として、また短期間でも首相になることで「政治家として用済み」のイメージが着くので、得ではないと判断するのではないか。

 代表選に立ってほどよく負けることが出来れば、戦いを回避したイメージを避けられるし、党内の有力者として名前を売ることが出来る(いわゆる「樽床効果」だ)が、実質的に選挙互助会のような現在の民主党にあっては、彼が風に乗って勝ってしまうリスクがある。細野氏の場合、知名度はもう十分だし、41歳とまだ若く将来の政治家人生に時間があり、またチャンスがあるかも知れない。細野氏は、代表戦に立たないのが「無難」であろう。

細野内閣で行けるところまで行く

 党内を見渡しても、首相になりたくて仕方がないはずの前原誠司氏が名乗りを上げないくらいなのだから、次期民主党代表は貧乏くじと見るのが常識的だろう。

 しかし、別の読み筋があり得る。仮に、「近いうちに解散」が、単に野田氏と谷垣氏の口約束であり、細野新代表はこれに拘束されない、という理屈を押し通すことが出来れば、一年以内だが細野氏は首相となって、民主党は時間を稼ぐことが出来る。

 消費税までひっくり返すと政権がもたないとしても、その他の政策は、有権者受けのするものに看板替えすることも出来よう(「原発ゼロ」など、幾つか有力なタマがありそうだ)。

 細野代表になった場合、民主党側としては、(1)問責決議を受けたのは野田氏であって細野氏ではない、(2)今は原発問題への対応が重要だ、等の「言い分」があるし、予算を質に取って野党が審議拒否を続けた場合、批判が野党に向く可能性は小さくない。たとえば自民党のトップが石原伸晃氏のような肝の小さい人物になった場合、国会を止め続ける度胸はないとみるが、どうか。

 上手く行くとは限らないが、可能性を考えると、「細野内閣を作って、これを力ずくで行けるところまで引っ張る」という戦略が、民主党にとって、唯一展望が開けるかも知れない選択肢ではないか。政治家として、大きな仕事が出来るチャンスはそうあるものではないし、一瞬でも首相になれるのだから、細野氏は勝負してみるべき時ではないだろうか。

 「野田続投→早期総選挙→民主党下野」を前提に、ここ数日、次期首相選びとして自民党の総裁選ばかりが注目されているように見えるが、後の影響まで考えると、注目すべきは民主党の行方なのかも知れない。

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