「急成長を遂げているオンライン教育の革命的サービス、Coursera」

Coursera(コーセラ)のWebページ

 本連載を始めた5月に「目覚ましい進化を続ける米国オンライン教育分野のイノベーション」と題した記事をレポートしました。今回は、その中でも近年際立った成長が目立つオンライン教育サービス「Coursera(コーセラ)」について、改めてレポートしたいと思います。理由は、このサービスの急速な成長です。

 Courseraとは、2012年4月、スタンフォード大学でコンピュータ・サイエンスの教鞭をとる二人の教授により始められた教育系スタートアップベンチャー企業です。シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタルであるKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)とNew Enterprise Associates(NEA)から合計1600万ドルの資金調達に成功して、一躍話題になりました。

 スタンフォード大学やプリンストン大学など、一流大学の授業がオンライン動画を通じて無料で受講できることや、また内容も長い授業をだらだら流すだけでなく、10分から15分程度の細切れの動画で見ることができることも特徴です。授業内容の理解を促進するためのオンライン上のミニクイズや、受講者同士で授業内容に関してディスカッションできるフォーラム、近い地域の受講生同士が実際にオフラインで会うことを可能にするミートアップのしくみなど、今までのオンライン教育の常識を覆すさまざまな工夫が盛り込まれています。

「現代ビジネス」8月8日掲載の松岡由希子氏の記事でも概要が紹介されています。ご参照下さい。『世界のどこからでもエリート校の講義が受けられる! 「Coursera」による高等教育のフリーアクセス化

目を見張る急成長を遂げているオンライン教育スタートアップ「Coursera」

 2012年8月上旬のCoursera社のブログによると、 当時、同社のユーザー数は世界196カ国から100万人を超え(9月上旬時点では123万人)、提携大学はスタート当初の4校から、16校にまで拡がっています。スタンフォード大学、ミシガン大学、プリンストン大学、ペンシルバニア大学などの初期参加校に加え、カリフォルニア工科大学、英エジンバラ大学、カナダのトロント大学、インド工科大学など、米国以外の名門大学も加わりました。

 講義内容もコンピュータ・サイエンス、ヘルスケア、薬学、生物学、人文系の社会科学、数学、統計学、経済学、ファイナンス&ビジネスなど幅広く、現在121と確実に規模が拡大しています。中にはインド工科大学の教授による「Web Intelligence and Big Data」やペンシルバニア大学の教授による「Gamification (ゲーミフィケーション)」など、世界で話題になっている最先端のテーマについて講義を受けることも可能です。

 共同創業者の一人であるDaphne Koller氏が6月末にTED Globalで行った講演の動画が先日掲載されました。こちらをご覧になると、いかにこのオンライン教育におけるイノベーションが急速なスピードで進化しているかを感じ取って頂けると思います。

 こうした海外のサービスによるコンテンツは英語で提供されていることが多く、日本で生活している私たちの多くがこれらの恩恵を全て享受することは難しいかもしれません。ただ、イノベーションはさらに進化しています。

 非営利団体のAmara(アマラ)は、インターネットのクラウド上でボランティアによる字幕翻訳を提供する団体ですが、先日Courseraと提携し、字幕を提供するサービスとして公式に採用されました。アマラは2010年に設立された非営利団体で、今までに20万以上のオンライン動画に対し、約100の言語で字幕を提供しています。すでにCourseraのオンライン講座の中のいくつかの講義には、10以上の言語の字幕がつけられているとのことです。

“Amara's Wiki-Style Translation Platform Enables Global Growth Of Education Startups”(Forbes 2012/8/31)

 ウェブを活用した教育の進化について解説した『ウェブで学ぶ ――オープンエデュケーションと知の革命 (ちくま新書)』の共著者である梅田望夫氏は同書の「おわりに」で以下のように述べています。

「日本語圏のウェブ世界からはまったく見えない大変化が、世界では着実にしかも急激に起きていることを、皆さんに知ってほしかった・・・・・・」

 私も今回、Courseraの急成長を改めて目にして、梅田氏の言葉に共感する点が多くありました。クラウドソースの翻訳によってこうしたギャップを埋めることがどこまでできるかは、正直なところ分かりません。ただ、こうした大変革が起きていることを知り、興味を持ち、受講する人も増えることで、日本の文脈の中でもグローバルな教育の大変革を担う人材が生まれてくることを願っています。


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