野田・谷垣会談「空白の20分間」で交わされた密約は、早期の衆院解散・総選挙ではなく自民党の予算編成参画だった!?

総裁選出馬に黄色信号が点滅する谷垣氏〔PHOTO〕gettyimages

 これまでの政局見立てを修正する必要があるかも知れない。

 筆者が主宰する『インサイドライン』でも書いたように、いま永田町では秋の臨時国会が10月初旬か中旬のいずれかに召集され、赤字国債発行のための特例公債法案と衆院の「1票の格差」是正のための衆院定数削減法案(自民党が求める小選挙区の「0増5減」の先行採決)を成立させたうえでの衆院解散・総選挙説(11月4日か18日の投開票)が支配的な見方である。

 事実、9月8日の会期末前の8月29日に自民党など野党が参院に提出した首相問責決議案が可決されたため、国会が事実上の休会状態となり、各党は選挙モードに突入した。

 だが、野田佳彦首相の様子がどうもおかしい。巷間、言われている8月8日の野田・谷垣(禎一自民党総裁)会談での「空白の20分間」に臨時国会冒頭衆院解散密約は事実ではないというのである。密約の内容は、実は解散時期ではなく、2013年度予算編成を民主、自民両党で担うというものだったというのだ。

野田首相は仙谷氏の腕力・胆力・人脈に期待

 先日会った鈴木宗男新党大地・真民主代表(前衆院議員)が示唆深い話をしていた。同氏は8月17日、約1時間、官邸で野田首相と会談している。その内容は、政治記者の間では森喜朗元首相を首相特使として9月8日からウラジオストクで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議後にロシアに派遣、プーチン・ロシア大統領と北方領土返還問題と極東・東シベリア地区開発への日本の経済・技術協力問題についての意見交換だったと理解されている。

 しかし鈴木氏は、野田首相との会談では「ロシア」以外についても言及があったというのだ。同氏が「総理には(消費増税関連法案成立以外にも)まだやるべきことがあるのではないか」と尋ねたところ、野田首相は「はい、やりたいことがあります」と答えた、と。だとするならば、この「やりたいこと」とは何か、である。ズバリ、それは先述の予算編成ではないか。

 筆者の聞き及んでいるところでは、財務省(真砂靖財務事務次官)は野田政権下で13年度予算の編成→政府案閣議決定→国会提出・審議→成立後の衆院解散・総選挙を望んでいるというのである。

 いくら何でも、予算成立後の来春解散は無理筋だ。であれば、12月末解散・1月総選挙か、1月の通常国会召集冒頭の解散・総選挙のいずれかになるということだ。この点については、首相の後見人である藤井裕久元財務相(民主党税調会長)もその趣旨で助言していることからも、説得力がある。

 民主党内の一部に9月21日に実施される代表選に田中真紀子元外相を擁立する動きがあるとの報道があるが、論外である。野田再選は、無投票で決まる可能性すらある。注目すべきは、代表選直後に野田首相が間違いなく民主党役員人事・内閣改造を断行することである。

 輿石東幹事長(樽床伸二同代行も!?)に代えて仙谷由人政調会長代行を据える可能性が高い。野田氏がこれまで仙谷氏を煙たい存在として遠ざけていたのは事実である。が、毒には毒をもって制するではないが、野田氏も、「やりたいこと」をやるのに必要な自民党要路との水面下を含む事前協議を担える仙谷氏以外にいないということが分かっているはずだ。仙谷氏の腕力・胆力・人脈に期待するということである。

 つまり、幹事長交代は、内閣改造で副総理・財務相に谷垣総裁を迎えるための布石というのだ。そうすれば、民主党と自民党で予算編成を「一緒にやれる」。事実上の大連立である。

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