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著名人10人が薦める「私の人生を変えた、この1冊」

取材・文▶ 安田峰俊(ノンフィクションライター)

「一日一生」 酒井雄哉 著

小久保裕紀(プロ野球選手)
1971年、和歌山県生まれ。右投右打。'93年にダイエーホークス(当時)にドラフト2位で入団し、2年目の'95年に本塁打王、'97年に打点王を獲得。今年6月、史上41人目の2000本安打を達成。8月14日に今シーズン限りでの現役引退を発表

「2000本安打を達成して以来、周囲から『おめでとう』とか『よくやったな』と声を掛けていただく毎日で、気を良くしていたんです。でも、達成した翌月にこの本を読んで気づかされました。記録を残すことが偉いわけではない。自分自身への謙虚さを忘れずに人生を歩むのが大切だと」

 今年6月、度重なる故障を乗り越え、名選手の証である2000本安打を達成した福岡ソフトバンクの小久保裕紀内野手(40)。そんな彼が挙げる「人生を変えた1冊」は、比類なき過酷さで知られる比叡山延暦寺の千日回峰行を2度も成し遂げた酒井雄哉が著した『一日一生』(朝日新聞出版刊)だった。天台宗の大阿闍梨の著書から、ホークスの主将は何を感じ取ったのだろうか。

「自分にとっての〝戒め〟となりました。筆致から伝わる酒井さんの人柄は、偉業を成し遂げた人間とはとても思えないほど自然体なんです。偉ぶらずに、語りかけるように読者に物事を伝える姿に共感を覚えました」