日本は二流国に転落してもいいのか!? ~第3次「アーミテージ報告」にみる日米関係の重要論点
リチャード・アーミテージ元国務副長官(左)とジョセフ・ナイ元国防次官補(右) 〔PHOTO〕gettyimages

 米国のアーミテージ元国務副長官とナイ元国防次官補ら超党派グループが最近、日米同盟に関する報告書「The U.S.-Japan Alliance」をまとめた。2000年と07年に続いて第3次の「アーミテージ報告」と呼ばれるリポートは、今後の日米関係を占ううえで基礎となる文献として各方面から注目されている。

 論点はエネルギー安全保障から経済・貿易、近隣諸国との関係、新たな安全保障戦略など多岐にわたる。ここですべては網羅できないが、私の独断と偏見で興味深いと思われる論点をいくつか紹介する。

「指導者を選ぶことで一流国のステータスを維持できる」

 まず日本の位置づけだ。報告は冒頭で「一流国」の条件として大きな経済力と軍事力、グローバルなビジョン、国際問題に関する指導力の4点を挙げている。そのうえで高齢化や出生率の低下、巨額の公的債務、日本の若者の間に広がる悲観論と内向き志向などを背景に、冒頭で「日本は一流国でありたいのか、それとも二流国に転落してもいいのか」と問いを投げかけた。

 しかも「二流国で満足するなら、この報告は興味を引かないだろう」と挑発している。この種のペーパーの書き出しとしては、しかも同盟国である日本に対する問いかけとしては、かなり挑発的だ。それくらい危機感を抱いていることの表れである。

 しかも結論部分では「日本は決定的な岐路に立っている」として「アジア・太平洋地域でダイナミックな変化が起きているとき、日本は二度と同じ機会を手にすることはできない」と通告する。

 続けて「指導者を選ぶことで、日本は一流国のステータスを維持できる」とさりげなく指摘したあたりは、いずれ近い将来にある衆院解散・総選挙を意識したかのようだ。このあたりはさすがと思う。報告の価値を高めるタイミングを計算しているのだ。

 原発については、野田佳彦首相が下した関西電力・大飯原発の再稼働決定を「正しい」と高く評価している。環境省のデータに言及して「もしも再稼働がなければ、日本の二酸化炭素排出量は2020年までにせいぜい11%削減できるにすぎないが、再稼働で20%に近づく」と指摘した。はたして環境省の推計が妥当かどうか、私は留保する。

 それより、報告が注目しているのは中国ファクターである。日本が原発を停止、凍結してしまうと、中国が「原発の売り手」として世界で存在感を増すのを懸念している。日本が原発輸出国でなくなると、米国としてもまずいと考えている思惑がみてとれる。

 福島の教訓に学ぶのは当然として、多くの日本人は政府を信頼していないから再稼働には反対論が多いが、直接の被害を被ったわけでもない米国は、日本の規制当局の仕事ぶりに日本人ほど心配していないような感じである。

 石油に代わるエネルギー源として注目されているシェールガスについても言及している。米国ではシェールガス革命が進行しており、日本も液化天然ガス(LNG)に加工して輸入したい。ところが、米国は基本的に自由貿易協定(FTA)を結んでいない国に対しては、エネルギー省が輸出に同意しない限り、LNGを輸出できない。そこで報告は「米国はナショナリズムに訴えるべきではない。日本にLNG供給を妨げない保証を与えるべきだ」と提言している。ここは、もちろん賛成である。

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