読書人の雑誌『本』
『宇宙って面白いの?』 著者:岩崎夏海
~ぼくの頭と宇宙の関係~

 みなさんは、ぼくの頭がなぜハゲているのか、考えたことがありますか? あるわけないですよね。だって、そんなことに興味のあるわけがないですから。

 ところで、ぼくにとって「宇宙」とは、それくらい興味のなかったことでした。宇宙に誰が行こうと、何をしようと、知ったこっちゃありません。もちろん、ぼくの払った税金の一部がその事業に使われていることは知っていましたが、税金は、払った以上は国や自治体にお預けしたものと考えているので、とやかく言う筋合いはありません。となると、宇宙とのつながりはもはや皆無に等しく、みなさんにとってのぼくのハゲのように、関心もなければ興味もない、全く考えたことのない事柄だったのです。

 ところで、これは当たり前の話なんですが、ぼくの頭がなぜハゲているのかということについて、ぼく自身は考えたことがあります。と言うより、それについて考えることにかなりの時間を割いてきました。だって、ぼくの頭がハゲていることは、ぼくにとってはかなり切実な問題ですから。

 ぼくの頭がハゲている原因の一つには、遺伝というものがあります。ぼくの父方の祖父は、もう亡くなってだいぶ経つのですが、聞いたところによると三十になるかならないかの頃にはもうハゲていたそうです。側頭部はふさふさしているけど、頭頂部から後頭部にかけてきれいになくなる、ソ連の書記長だったゴルバチョフ型のハゲでした。

 この遺伝子を、ぼくはどうやらそっくり受け継いでしまったようで、やっぱり三十になるかならないかの頃合いで、頭髪が心許なくなっていました。以来、髪型はハゲが最も目立たない坊主一本槍なのですが、今後の人生の中でもう二度と他の髪型を楽しめそうにないということを考えると、何ともやるせない気持ちになります。

 ところで、この遺伝子は不平等なことに、父や弟には受け継がれませんでした。ぼくの父はもう七十を越えていますが、いまだに白いものがそれなりに生えそろっており、弟は弟で、アメリカの海軍兵のように短く生えそろったそれを、これ見よがしに屹立させています。