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安藤: 栗城さんの本の担当編集者も気づいてました。「僕」っていうのは、栗城史多という一人の30歳の男性として言っているんですよ。ところがもう一つ、「登山家・栗城史多」という人格があって、それが出てくるときの一人称は「栗城」になる。

栗城: なんかカウンセリングみたいになってきた(笑)。多重人格のようなものかなあ。

安藤: いや、そういう感じじゃないんです。「僕」も「栗城」も、とてもナチュラルにやっていますよ。きっと、自分の中ではすごく自然に切り替えているのではないでしょうか、無意識のレベルで。

 山頂に立ったとき、「僕」はきっとすぐに泣きたいんですね。ところが「栗城」は「ちょっと待って」と言って、三脚を立ててカメラをセッティングして、撮影を始めてから泣く。

栗城: ハハハハ。なるほどねえ。

安藤: 今になってわかったんですか? 頻繁に使い分けてますよ。

栗城: 確かにそうかもしれないけど、考えてやっているわけではまったくないんです。僕の人生って、ニートになったのも登山家になったのも、本当にたまたまの連続なんで、だからそういう使い分けがごく自然にできているのかもしれません。

 いやぁ、今日はこれまでまったく気づかなかった自分のことがわかって、やっぱりこの対談に来てよかったと思いました(笑)。

〈次回に続く〉

 

栗城史多(くりき・のぶかず)
1982年北海道生まれ。大学山岳部に入部してから登山を始め、大学3年のとき、単独で北米最高峰のマッキンリーを登る。その後、6大陸の最高峰に登頂。2007年以降はヒマラヤの8000m峰に挑戦している。07年、自らの登山の動画配信をスタート。09年から「冒険の共有」としてのインターネット生中継登山を始め、同年ダウラギリ(8167m)の単独・無酸素登頂と6500m地点からのインターネット中継に成功。世界最高峰エベレスト(8848m)には登山隊の多い春ではなく、気象条件の厳しい秋に単独・無酸素で挑戦している。12年秋にもエベレストに単独・無酸素で挑戦する予定。
安藤美冬(あんどう・みふゆ)
株式会社スプリー代表。1980年生まれ、東京育ち。慶応義塾大学卒業後、(株)集英社にてファッション誌の広告営業と書籍単行本の宣伝業務経験を積み、 2008年には社長賞を受賞。2011年1月独立。ソーシャルメディアでの発信を駆使し、一切の営業活動をすることなく、多種多様な仕事を手がける独自の ノマドワークスタイルが、TBS系列『情熱大陸』で取り上げられる。またNHK Eテレ『ニッポンのジレンマ』では30代の若手論客として、フジテレビ『Mr.サンデー』ではゲストコメンテーターとして出演。『自分をつくる学校』の運 営、野村不動産やリクルート、東京ガスなどが参画する新世代の暮らしと住まいを考える『ポスト団塊ジュニアプロジェクト』ボードメンバーのほか、日本初の スマホ向け放送局『NOTTV』でのレギュラーMCや連載の執筆、講演、広告出演など、企業や業種の垣根を超えて活動中。2013年春創刊のシングルアラ フォー向け女性誌『DRESS』では、「女の内閣」の「働き方担当相」を務める。猫と旅と映画と本をこよなく愛する32歳。11月29日、初の著書『冒険に出よう』がディスカヴァー・トゥエンティワンより発売。公式ホームページ: http://andomifuyu.com/
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