現代ビジネス×代官山 蔦屋書店 コラボ企画第1弾 馬場康夫(ホイチョイ・プロダクションズ)トークライブ【前編】 「電通マンから学んだ『戦略おべっか』の真髄」

2012年08月30日(木)
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 つまり、人と何が違うかなんてどうでもいいことで、人間はそれぞれ違うのが当たり前なんですよ。もちろん、生まれた場所だって育ってきた環境だって違うんだから、それぞれ違うのは本当に当たり前のことなんですよ。

 しかし、親子は喉が渇いたらいちばんいい顔をして顔を見合わせるとか、共通点もたくさんあって、その共通点を拾い上げるのがエンターテインメントであり広告であり、同じだということを考えるのがわれわれの仕事だろう、ということなんですね。ですから、「俺は人と違う」なんて気持ちで物を作ったことは僕は1回もないですよ。

松嶋: だから馬場さんの映画などを観て、皆さんが共感を覚えるということでしょうかね。

馬場: 共感というか、少なくとも「俺がどう思うかなんてどうだっていいんだよ」という感じですね。「みんなどう思うのよ」ということが大事で、たとえば堀さんがディズニーの話をされたときに、「電通時代はこういう人に薫陶を受けた」と小谷正一さんという方を挙げられたんです。その方は2代目くらいのラ・テ局長で、元々毎日新聞の事業部長だった方で、井上靖さんの親友だった人なんですが、僕は堀さんから話を聞いてから、小谷正一のことが書きたくて『エンタメの夜明け』という本を書いたんです。

 小谷正一という人がいろいろなことをやっているという一例をこの本の中にも挙げている。たとえばマルセル・マルソーという有名なパントマイマーが日本に来たときに、彼の奥さんに自分の部下をつけて、買い物するときに何を買って何を買わなかったか、どこで迷ってどっちを買ってどっちを買わなかったかを全部レポートさせたんです。

 それで、その部下のレポートを聞いて、奥さんが帰る時に、迷って買わなかったほうの商品を全部箱に詰めてプレゼントしたんだそうです。「女性が迷うということは結局どっちも欲しいということだから、迷って買わなかったほうの商品もきっと欲しいに違いない」ということなんですね。

 俺は生涯で喜んだプレゼントってないんですけど(笑)、小谷正一みたいなプレゼントの仕方をされたら絶対喜ぶと思います。それは、「どっちにしようかな、やっぱりこっちかな」と思って選んだのに、選ばなかったほうの商品も手に入ったらこんなにいいことはないですからね。

連綿と継承される気づかいの知恵

松嶋: 何だか韓国ドラマみたいな話ですね(笑)。

馬場: たしかに。ベタですけど、そういうことをやっていた小谷正一という人に電通の第4代社長の吉田秀雄が惚れ込む。吉田秀雄という人もまたそれに輪をかけたくらい気づかいの名手でした。

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