元大蔵官僚・元衆院議員が新著で告白
増原義剛「改正貸金業法を作ってしまった失敗と反省」

〔写真〕小原孝博

今も忸怩たる思い

 多重債務を問題視するマスメディアから拍手喝采を浴びたあの改正貸金業法の成立から、約5年が経過した。

 この間、当時の消費者金融利用者1200万人余りが700万人余りまで激減しており、一方、「総量規制」という新たな規制が主因で、約500万人の健全な利用者の多くが行き場を失った。また、資金の貸し手たる1万5000社のノンバンクが淘汰、撤退を余儀なくされ、2000社強にまで減っている。

 この副作用は、規制強化の狙いであった「多重債務者問題」の解決と比べて、看過すべき程度の小さな弊害だったのか? いや、そもそも当時の議論において、弊害はどの程度認識され、どの程度、規制強化の便益と比較衡量されたのだろうか?

『弱者」はなぜ救われないのか』
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 詳しくは、先日刊行した拙著『「弱者」はなぜ救われないのか 貸金業法改正に見る政治の失敗』に記したが、改正貸金業法とは、国民を苦しめ、新たな弱者を生み出し、そして弱者をさらなる弱者に突き落としてしまう、明らかな失敗であった。

 この法律の立法責任者として、改正当時の経緯を正直に申し上げよう。改正貸金業法とは、実はそのような比較衡量がほとんどなされないまま制定された法律であった。

 むしろ、規制の弊害を指摘することが社会的・政治的に許されないという、ある種異常な雰囲気のなかで決められ、ある意味で政治と政治家の限界があらわれた法律だったとも言える。

 当時、私は立法責任者の立場にいながら、規制導入の副作用を踏まえた十分な議論を導き出せず不完全な法律となったこと、それ故に完全施行前の法律の見直し規定を導入したにもかかわらずその見直しができなかったことに、理由の如何を問わず、政治に関わった者として大いに責任を感じている。忸怩たる思いである。

 あれから5年、いま一度、当時の経緯を冷静になって振り返り、規制強化が何をもたらしているのか、その効果も弊害も「棚卸し」すべき時であると思っている。

 この国が現在直面しているいろいろな困難に対処する政策議論のあり方を考える上で、逆説的ながら、改正貸金業法の失敗には大いに学ぶべき点があると私は考える。そこで、以下では、そうした反省の思いも込めて、当時の様子を振り返りながら、偏った法律改正に至った経緯をお伝えする。

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