津田大介×長澤秀行×大元隆志×梅木雄平 第3回 「マスメディアとマンメディアがフラットな土俵で比較される時代」
Social Media Week Tokyo 特別座談会

第2回はこちらをご覧ください。

なぜ日本からイノベーションが生まれないか

津田 いろいろなソーシャルメディアが日本でも出てきたんですが、よくある議論として、なぜFacebookやTwitterが日本から出てこないのか、みたいな議論がありますね。日本の場合では、ソーシャルメディアという意味ではドワンゴのニコニコ動画みたいな化け物があるとは思うんですが、一方では「はてな」も一時期すごく注目されたけれども、今は地味な存在になってしまっているよね、とか。

 いろいろアメリカで流行った新しいものが出てきたら、日本でも似たようなものがどんどん出てくるんだけれども、本当にオリジナルな価値を持って、世界には行かないまでも日本でも出てきている企業って、最近だとmixiも元気がないですし、その辺りについて、大元さんはどういうふうにご覧になっていますか?

大元 いろいろな問題が複雑に絡んでいるのかな、と思います。今のお話は、日本ではなぜイノベーションが生まれないのか、という主旨のご質問だろうと思うんですが、日本で流行ったサービスって結局海外で流行ったものをそのまま持ってきているケースが多くて、日本人自体が考えて作っていないというのがまず根本的にある。

 あとは、日本人の文化の価値観として、日本人が新しいものを作ってもそれを良いと言ってくれる味方が少ないというのが一つあるかな、と思っています。多分世の中には、日本でも良いイノベーションがあると思うんですが、それをメディアの人なども大きく採り上げてくれないんですね。

 Googleが何かやったとかFacebookが何かやったというとそれを特集してくれるんですが、日本人の誰かが新しいことを考えて「THINK BIG」だと言ったとしても、それをメディアが採り上げてくれないので広まらない、という問題がそもそもある。

 ですからパクリサービスで、海外で何かのサービスが流行ったからそれを持ってきて、これがいいよと言ったら、海外の誰かが良いと言っているならやろう、みたいな形でしか広がらない。そういったマーケティングの要素があるのかな、と思います。

津田 たとえば日経新聞や、『週刊現代』が採り上げないのが悪いということですかね。現代ビジネスではこうやって採り上げているわけですけれどもね(笑)。メディアの問題もあるということですね。

大元 広まらないことには食っていけない、ということがあるので、ベンチャーだけではなく大企業さんとお話をしていても、やはりまず最初に言われるのは「どこかに事例はあるのか」ということです。新しいことをやるというリスクをとることは、文化としてそれほど根づいていないのかな、と思います。

津田 今日のテーマは「ソーシャルメディアで変わるビジネスとコミュニケーション」なんですが、ソーシャルメディアがビジネスに食い込んで新しいコミュニケーションを生み出しているなかで、大元さんが個人的に今後可能性があるんじゃないかと注目しているネットサービスや企業は具体的にどこかあったりしますか?

大元 日本の企業で、ということですか? ないですね(笑)。本当に申し訳ないんですが、やはり自分たちもFacebookやニュースの記事を紹介しようと思うと、そのときの判断の基準には、話題を呼ぶかどうかということも一つの要素となると思うんですが、自分が時間をかけてブログを書こうかと思ったときに日本の企業だとやっぱりPVが集まらないだろうな、と思ってしまうんですね。

 ですから、正直なところ日本の企業にそれほどフォーカスして考えているというケースはないですね。やっぱり私たちの通信の世界では「ギャング・オブ・フォー(「4人組」の意でGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4社)」は常に見ていますけれど、その他のところで影響力を及ぼしてくるようなサービスはない。

 あとは、私が基本的に興味を持つ基準というのが通信業界に対してトラフィックがどれだけ増えるかという視点で見ているので、大きなサービスになってこないものはあまり引っかからないというところがあります。

津田 ニコニコとかはいかがですか? 通信のトラフィックは増やしていますけれども。

大元 ニコニコさんはもちろんありますね。あそこはすごいなと思います。

津田 梅木さんから見て、個人的にはどうですか?

梅木 まったく真逆の意見でして、FacebookやGoogleを取り上げるとたしかに見てもらえる確率は上がるんですが、それはみんなやっていることであるというのが私の考えです。私がすごく良いなと思ったサービスを書いて、それがきっかけでユーザーが増えてくれたら嬉しいな、というのがありますので、PVをとくに気にせず自分が良いと思ったサービスを書くというスタンスです。

津田 何かどこか具体的に、ここがくるんじゃないかというふうに、見ていて期待しているところはありますか?

梅木 私が気に入っているサービスとしてはRettyという飲食グルメのサービスがあります。

津田 ありますね、アプリがありますね。

梅木 ご存じですか。iPhoneアプリがありますよね。

津田 口コミですよね、ソーシャルメディアと連動したグルメの。あれは食べログとはどう違うんですか?

梅木 いちばん違うのはFacebookやTwitter連携で、Twitterのようなタイムラインでフォローしている人の投稿が見られるということと、自分が行きたい店や行った店のリストを作るところですね。

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