[虎四ミーティング]
水野雄仁(プロ野球解説者)<後編>「歴史が動いたPL学園戦」

二宮: 「花がつオクラ牛丼」はいかがですか?
水野: 初めて食べましたが、やっぱり夏にネバネバ系はいいですね。特に年齢を重ねてくると(笑)。

二宮: いやぁ、水野さんは、変わらないですね。今、何かスポーツは?
水野: 同期の古田敦也や小宮山悟、武田一浩とゴルフに行っていますね。ゴルフに行く前に、よく「すき家」に行って牛丼を食べたりするんですよ。早朝にも営業しているので、すごく助かります。

死球を受けても完投

二宮: さて、今夏の甲子園はホームランが多かったですね。力強いスイングの背景にはウエイトトレーニングがあげられます。その先がけが水野さんたちの池田高校でした。
水野: ウエイトトレーニングで、僕たちもだいぶ力がついて、練習でもバンバン、飛ばしていましたからね。池田のグラウンドはレフトフェンスまで95メートルくらいあるんです。そこには当初、2メートルほどの高さのネットがかかっていたんですけど、僕らの打球があまりにもそのネットを越えてしまうものだから、そのうち5メートルくらいにまで高くしたんですよ。

二宮: ウエイトトレーニングで鍛えられた「やまびこ打線」はまさに無敵でした。2年夏、3年春と連覇して、3年の夏も3連覇は決まりだろうと言われていた……。
水野: 周囲の期待が大きかったのは、僕らもひしひしと感じていましたね。

二宮: 夏も他校を全く寄せつけず、圧勝で勝ち上がっていきました。1回戦は太田工に8-1、2回戦は高鍋に12-0、3回戦は広島商7-3……。
水野: でも、体力的に余裕はなかったですね。実は春先に脇腹を痛めて1カ月ほど、走り込みができなかったんです。しかも、この年の夏は1回戦から本当に暑い日が続いて、予選からの連投でフラフラでした。今、改めてビデオを観ると、春と夏とでは体のキレが全く違うんです。

二宮: それでも、これだけ抑えられたのはコントロールが良かったからでしょうね。
水野: そうですね。特に1、2回戦は四球は2個くらいで、安定していたと思います。

二宮: 3回戦の広島商戦では、1打席目に先制のホームランを放ちましたが、2打席目には頭に死球を受けました。この影響はありましたか?
水野: 暑いのもあったと思いますけど、頭がボーッとした感じはありました。

二宮: それでも完投してしまったんだからスゴイ! 死球を受けて、ベンチに戻った時、監督の蔦文也さんは何て言いましたか?
水野: ひと言、「いけるだろ?」と(笑)。

二宮: アハハハハ。蔦さんらしいですね。でも、8回に2年生だった吉田衡が打ったスリーランは大きかったですね。
水野: 当時は、広島商との試合が事実上の決勝戦と言われていましたから、全員が気合い入っていましたね。僕自身、「この試合だけ集中していけば……」という気持ちがあったので、完投できたんだと思います。