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大反響「新・富裕層」の研究番外編 「私はこうやって莫大な資産を手に入れた」「新しい金持ち」と「名門の金持ち」がその仕事と生き方を語った!

週刊現代 プロフィール

 彼らがお金を稼ぐ理由は、自由を手に入れるためです。だから彼らには、会社を大きく育てて上場し、何十億円もの資産を築こうといった考えはない。しかも、お金を蓄えてどんどん増やしたいという考え方もありません。お金の自由があって、時間の余裕もつくれる。なおかつ、3・11の震災には1000万円寄付するなど、社会に対して熱い思いをもっている若い世代の金持ち、これが新興富裕層と言えるでしょう」

 富裕層を対象に投資アドバイスなどを行っているアブラハム・プライベートバンク社長の高岡壮一郎氏は、別の角度から新富裕層を分析する。

「かつてのお金持ちは、基本的には先祖から受け継いだ土地を持っていました。そうでなければ、まず借金して土地を買い、その土地を担保にまた土地を買うといった不動産の値上がりを前提とした資産形成行動をとっていた。他方、30~50代の美容整形分野の医師や経営者などからなる新富裕層は、相当な勉強を積んできた人たちで、情報収集能力も分析力も高い。だから彼らは、不動産投資のようなみすみす損をするような選択はしません。自宅もあえて賃貸にしている人が多いですし、資産運用でも海外ファンドを買って日本のリスクをヘッジしたり、円高局面で為替相場にトライしたりといった行動を取っているのです」

 新富裕層はとにかくメディアに露出したがらず、目立つことのリスクを避けようとする。自分や限られた周囲の人びとが満足できるお金を稼げればよく、仕事の取引先も「仲間」と呼ぶような関係なのだから、知名度を上げて仕事を増やしたりする必要はない。むしろ、それは自分たちの自由を奪うという発想である。

 本誌が取材することのできたもう一人の新富裕層は、マッキンゼー・アンド・カンパニーから独立して、投資アドバイス業を営んでいる岡村聡氏(33歳)だ。

「リーマンショック前なら会社に留まって10年我慢すれば、大きな果実が得られるという希望があったけれど、今は会社に残っても先が見えません。それで僕は夫婦で独立・起業しました。年収は3000万円ほどですが、僕らの周りの起業家も、年収2000万~3000万円をコンスタントに稼ぎ出せれば充分という感じです。この程度の年収なら、さほど激しく働かなくても、持っているスキルと人脈で、まずまず回していける。こうした形態をスモールビジネスというのですが、僕の住む港区のタワーマンションには、スモールビジネスをやっている新富裕層が多いんです。住人同士で情報交換したり、ビジネスを融通し合ったりという互助的な関係が築かれていますし、それで充分、仕事として成立するんです」

 岡村氏は「家族との時間を大切にしたいから」アフター5に仕事は入れない。会議はランチミーティングで「ちゃちゃっとまとめる」。昔風の仕事人間とは完全に別の人種だ。

「たとえば1億円稼げたとしても、3000万円稼いでいる今の生活の何が変わるのかという思いがあるんですよ。服はユニクロで全然かまわない。ポロシャツを着て、短パンでマンション内を行き来してビジネスをやっている。僕の年代のスモールビジネスの経営者には、そういった人がたくさんいます」

 従来の経営者は地域の支えのなかで事業を拡大させて、数多くの従業員を雇い、その生活の面倒を見ることを美徳としてきた。一族郎党で事業を拡大させ、最終的には上場して次代につなげることが経営者としての成功だった。