伊藤博敏「ニュースの深層」
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メダリストたちの活躍の一方で起きた「内紛劇」。「レスリングの父」が設立した財団法人「スポーツ会館」と文科省を悩ます「資産売却騒動」

2012年08月23日(木) 伊藤 博敏
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 ロンドン五輪が閉幕、多くのアスリートたちの活躍が目に焼き付いているが、終盤に金4個、銅2個を獲得した男女レスリング選手の奮闘は忘れがたい。

 レスリングが、「日本のお家芸」といわれたのは、金5個を獲得した東京五輪の頃からで、「3丁目の夕日世代」は、「レスリングの父」といわれ、選手をスパルタで鍛えた八田一朗氏の名を思い出すだろう。

 戦前、早稲田大学柔道部の選手として渡米、レスリング選手に敗れたことに発奮してレスリング部を創設、戦後は日本レスリング協会会長を40年近く務めたほか、参議院議員になって五輪招致に力を尽くした。

 その八田氏が、東京五輪閉幕から4年後の1968年、新宿区百人町に設立したのが財団法人「スポーツ会館」である。「フィットネス」という言葉が知られていない頃に出来たスポーツクラブの草分け。その後、林立する民間クラブのお手本となった。

3ヵ月以上も「理事長不在」

 しかしいま、歴史が刻まれたこのスポーツ会館で、「理事長不在」「資産売却」の騒動が持ち上がり、所管する文部科学省スポーツ振興課は頭を悩ませている。

 「問題になっているのは承知しています。事実ならゆゆしきこと。口頭で指導はしているのですが・・・」(担当係長)

 騒動を振り返ってみよう。

 スポーツ会館の経営が揺らぐのは4年ほど前から。建設から40年以上を経て建物は老朽化、それに伴い修繕補修費は嵩むのに、民間のスポーツクラブに押されて会員数は伸び悩み、「税金滞納」といった事態まで生じるようになった。

 1階に元プロボクサー世界チャンプの竹原慎二、畑山隆則の「ボクサ・フィットネス・ジム」がテナントとして入っているという話題性や、JR大久保駅近くいう立地の良さから「再建」は可能とみられるのだが、「先立つ資金がない」というのが実情だった。

 加えて、八田氏の後輩の早稲田大学レスリング部OBで日本サンボ連盟会長も務めていた堀米泰文スポーツ会館理事長が体調を崩し、資金援助を含めて事業家の下地常雄氏に経営を委ねた頃から迷走が始まる。

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