"ジョブズ二世"がリードする「モバイル決済」の現在と未来

TVのインタビューでスクエア社のサービスを説明するジャック・ドーシー氏〔PHOTO〕gettyimages

 スマートフォン等を使って支払をする「モバイル・ペイメント(モバイル決済)」が、米国社会に浸透し始めた。この分野では日本の「おサイフケータイ」が先行しているが、今、米国で広がりつつあるモバイル決済は、これまで普及の足かせになっていた問題を解決するなど、新たな展開を見せている。

 グーグルなど大手企業と競うようにして、今、この分野の先頭を走るのは「スクエア(Square)」というベンチャー企業だ。同社はツィッターの共同創立者であるジャック・ドーシー(Jack Dorsey)氏が2010年に(今度はツィッターを設立した時とは別の人物と)やはり共同で設立した会社だ。

 ドーシー氏は自分で創立したツィッターから一時、ほぼ「追放された」ような状態にあったが、その間にスクエアを立ち上げた。その後、自分をツィッターから追放した人物を逆に追放し返し、今はスクエアのCEOとツィッターのエグゼブティブ・チェアマンを兼務している。"スティーブ・ジョブズ二世"とでも言うべき、不屈の起業家である。

キャッシュレス決済、普及の障害は「読み取り機」

 スクエアが提供するモバイル決済サービスの画期的なところは、スマートフォンをクレジットカードの「リーダー(読み取り機)」として使うことだ。この点について、もう少し詳しく説明しよう。日本のおサイフケータイにしても何にしても、通常、「モバイル決済」と聞いて私たちが思い浮かべるのは、携帯電話やスマートフォンを支払用の端末として使うことだ。モバイル端末を小売店に置かれた読み取り機にかざすだけで支払ができる。この手軽さがモバイル決済の最大の売りだった。

 ところが、そこには普及を妨げる大きな問題が横たわっていた。それはモバイル決済用のリーダーの価格がかなり高いので、資金に余裕のない小規模な小売店などが導入に二の足を踏んでしまうことだ。たとえば日本のおサイフケータイにしても、モバイル決済の先行事例として世界的に高い評価を受けてはいるものの、その利用率は携帯ユーザー全体の15%程度と意外に低い。

 言わば「宝の持ち腐れ」的な状態にある最大の理由は、おサイフケータイで決済するためのFeliCaリーダーが、日本全国、津々浦々の小売店にまで広がっていないことだ。都市部の量販店や全国展開するチェーン店などではおサイフケータイは難なく使えるが、小さな店が並ぶ地元商店街などでは使えないことが多い。

 日本ではクレジットカードの普及率も米国よりは低いが、その理由もやはり小規模小売店がカード・リーダーの導入に消極的なところにある。それは実は日本だけではない。カード社会の米国でも、極めて小規模な零細店などではクレジットカードが使えない場合が珍しくない。つまりクレジットカードにしてもモバイル決済にしても、その普及の最大の足かせとなってきたのは、リーダーの導入率がある段階で頭打ちになってしまうことだった。

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