8月15日の混迷 ~ひ弱な民主党政権を侮る隣国
昨年10月、韓国を訪れた野田首相と握手を交わす李明博大統領〔PHOTO〕gettyimages

 終戦記念日の8月15日、武道館で行われた全国戦没者慰霊式に臨んで、改めて戦没者のご冥福を祈るとともに、日本現代史を振り返ってみることの必要性を痛感した。それは、隣国との間で大きな政治問題となっている領土問題を何とか軟着陸させねばならないからでもある。

 まずは、韓国との関係である。李明博大統領が突然竹島を訪問し、また、天皇陛下に植民地時代の謝罪を求めたことは、日本国民に大きな衝撃を与えた。日韓両国は、様々な困難を抱えながらも、政治のみならず、経済、文化など各層、各分野での交流を深め、未来志向の二国間関係を構築していくために努力を重ねてきた。そのような努力を、大統領自らが水泡に帰す愚を犯したことは残念である。

 李明博大統領は政権末期の支持率低下を挽回しようとして、竹島を訪問したのであろうが、日韓関係の発展のために、それは行わないことが暗黙の了解だったはずである。しかし、その了解が破られた以上は、日本が竹島問題を国際司法裁判所(ICJ)に提訴するのは当然である。韓国は、提訴に応じないであろうが、少なくとも国際社会に日本の主張を広く知らせることの助けにはなろう。

アプローチの変更は致し方ない

 かつて、日韓両国の政治家が、竹島など爆破して海に沈めたいと冗談を言っていたこともあったと聞くが、それは両国関係を大局的に捉えようとする意志の表現だったとも言えよう。李明博大統領のポピュリズム的行為は、日韓関係を冷却化させてしまった。

 竹島に施設を建設したり、観光客を訪問させたりする韓国の竹島に対する行為を、これまで野放しにしてきた歴代日本政府の責任も問われよう。しかし、それは、日韓関係を良好に保つことが、安全保障や経済の面でも重要であるという視点からの日本側の鷹揚な態度であったとも言える。そのような日本側の大人の対応が、今回のような大統領の行為につながったのであれば、アプローチの変更は致し方ない。韓国側も大きなツケを払わせられることになろう。

 尖閣諸島への香港の活動家上陸もまた、実効支配を狙っている中国側の長期戦略の一環であろう。ここでは、日本は実効支配をしているので、それを継続させることが必要である。そのためには、海上保安官に陸上での逮捕権を認めたり、尖閣周辺で漁業資源などの調査活動をおこなったりすることを考えてよかろう。

 中国は他国との軋轢をものともせずに、東シナ海を自国の池にするかのように、資源探査、海軍増強などを敢行している。ASEAN諸国とも連携しながら、中国を封じ込めていくことが肝要である。そして、そのためには強固な日米安全保障関係を維持していく必要がある。

 北方領土には、大統領時代に加えて、メドベージェフ首相が再訪し、ロシアの実効支配を着々と進めている。北方領土問題もまた、エリツィン・橋本会談から大きく後退したままである。その間、経済的実力を高めてきたロシアは、北方領土を開発する能力と財力を整えてきている。時間の経過は、ロシアに有利に働きかねない。

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