外務省はなぜやるべき仕事をしないのか。尖閣における「日中武力衝突」の危険性を過小評価するな

 8月19日朝、尖閣諸島に日本人10人が上陸した。朝日新聞の報道を引用しておく。

<尖閣諸島に日本人10人上陸 洋上慰霊の一行

 尖閣諸島(沖縄県石垣市)付近の洋上を船で視察中の日本人のうち10人が19日朝、尖閣諸島・魚釣島に上陸した。船から泳いで上陸し、灯台付近で日の丸を掲げたり、灯台の骨組みに日の丸を張り付けたりした。海上保安庁の呼びかけに応じ、午前10時までに10人全員が島を離れた。参加者によると、10人の中に国会議員はいないという。

 一行は、18日夜に船で石垣島を出発した自民、民主、きづなの超党派の国会議員8人ら。洋上で戦没者の慰霊祭などをするため、宮古島や与那国島を出航するグループを含め総勢約150人が21隻で尖閣沖を目指していた。

 19日午前5時すぎに魚釣島の沖合に到着。10人が上陸したのは、船上で午前6時40分ごろからの慰霊祭を済ませた後だった。別の参加者によると、上陸したメンバーは魚釣島の灯台前で泳いでいるうちに「島に泳いで行ける」と、そのまま島に渡った。他の船からの上陸者もいたという。

 尖閣諸島をめぐっては、香港の活動家らが15日、魚釣島に不法上陸し、17日に強制送還されていた。>(8月19日付、朝日新聞デジタル)

 尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも日本固有の領土で、しかも日本がこれらの島々を実効支配しているので、中国(台湾)との間に領土問題は存在しないというのが日本政府の立場だ。ただし、尖閣諸島は政府が借り上げ、政府の許可無くして上陸は認められない。今回、慰霊祭に関して、自民党の山谷えり子参議院議員らが<戦没者の慰霊祭のため尖閣諸島への上陸許可を政府に求めたが、野田政権は認めなかった。>(8月18日付、朝日新聞デジタル)

竹島と尖閣のダブルスタンダードは通用しない

 10人の尖閣上陸は、一見、日本政府の腰抜け外交を弾劾する義挙のように見えるが、そうではない。日本は法治国家である。政府が本件に関しては、尖閣への上陸を認めないと明示的に方針を示しているにもかかわらず、一部の人々が自らが信じる主観的正義感に基づいて行動することを是認してはならないと筆者は考える。政府の統制から外れた民間人の行為が中国を挑発し、その結果、日中間の武力衝突を引き起こすような事態になっても、この勇ましい人たちは責任を取ることができない。

1234
メルマガ表紙
佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」

価格:1,080円(税込)
第2・第4水曜日配信+号外
「佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」」を購読する

佐藤優直伝「インテリジェンスの教室」最新の記事
佐藤 優の書籍紹介