防衛・安全保障 中国
尖閣諸島の領有権を主張する中国にも「ホンネとタテマエ」がある。日本にはそれを見抜いた上での老獪な外交を期待したい
尖閣諸島[Photo]Wikipediaより

 先週、日本中を騒がせた香港の活動家グループら14人による尖閣諸島上陸騒動は、彼らを強制送還させて一件落着となった。一時は、日中が一触即発となるところだった。

 この一件で感じたのは、日中間相互の不理解である。もちろん悪いのは香港人のお騒がせな活動家たちだが、それにしても日中双方に、相手国の立場に立って物事を考える余裕と信頼が欠如しているのである。

 今回の14人の中には、香港フェニックステレビのレポーターとカメラマンが含まれていた。フェニックステレビは、香港を代表するテレビ局で、「香港のCNN」と言ってもよい。いまは連日、シリアまで特派員を送り、内戦の状況を日々、勇猛果敢に伝えている。

2時間弱のサンドバック体験

 実は私はこの3月下旬、フェニックステレビの"朝生"のような人気討論番組に出演したことがある。テーマはまさに、「釣魚島(尖閣諸島)---いまそこにある中日の危機」。日中の論客5人ずつで徹底的に討論したいので、日本側の一人として出てほしいと、北京の私のところにも依頼が来たのだ。

 私は「言論の自由が保障されるなら」と条件をつけた。以前に中国のテレビ局からも似たような依頼が来たのだが、テレビスタジオまで行ってディレクターと打ち合わせをしている時、テレビ局側の「恣意的な番組作り」を強く感じて、録画の前に引き返してきたことがあったからだ。

 北京で会ったフェニックステレビのディレクターは、「言論の自由は100%保障します」と約束した。それで安心して、北京西郊にあるフェニックステレビのスタジオに出かけていった。

 すると、「日中5人ずつ」という触れ込みだったのに、日本側は3人しか来ていなかった。ディレクター氏に聞くと、残り二人は当日、ドタキャンしたのだという(気持ちは分かるが)。しかも私以外の二人の日本人は、スタジオには顔を出したものの、「観客席でのオブザーバーにしてほしい」と言い出し、結局、日本側は私だけ。1対5、プラス100人ほどの過激な中国人の観客という圧倒的劣勢のもとでの討論会となった。

 本当に、2時間弱の間、対面する5人の中国の専門家と、周囲の観客席から、凄まじいまでの非難を受けた。多勢に無勢で、私はまるで「A級戦犯」である。私が一言、日本人としての主張をしようものなら、「日本鬼子は出て行け!」と非難の渦となる。

 例えば私が、「この小さな島の問題が日中関係のすべてではない」と一言述べただけで、「釣魚島の日本不法占領を小さな問題とは何事だ!!!」と、対面する5人と観客席の中国人たちから、轟々たる非難を受けるのだ。

 四方からスポットライトを煌々と浴びながら、私はまさにサンドバック状態であった。幸い、台湾人の人気司会者・胡一虎が最後まで中立を保ってくれたおかげで、私は中国人たちに「殴られずに」番組を終えることができたのだった。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら