プチ帝国主義政策を展開し始めた韓国と、それを利用する中国の真性帝国主義

佐藤 優 プロフィール

 米国、EU(EUはドイツとフランスを核とするヨーロッパの広域帝国主義連合である)、ロシア、中国は露骨な帝国主義政策をとっている。北東アジアにおいて、中国とロシアの帝国主義政策に刺激され、韓国も同様の政策を取り始めた。しかし、客観的に見て、韓国は、北東アジアの大国であるロシア、中国と肩を並べる力はない中堅国だ。このような現状を冷徹に認識した上で、李明博大統領は、「歴史カード」を最大限に活用してプチ帝国主義政策を日本に対して展開し始めたのである。

 8月15日、「光復節」(1945年8月15日の日本の敗戦によって韓国が植民地支配を脱した祝日)の演説において、李明博大統領は竹島問題について一言も言及しなかった。しかし、このことをもって、李明博大統領の対日姿勢が軟化したと見るのは間違いだ。李明博大統領の演説に関する読売新聞の報道を引用しておく。

<【ソウル=中川孝之】韓国の李明博大統領は、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の15日午前、ソウルで演説し、いわゆる従軍慰安婦問題について日本政府に「責任ある措置を求める」と語った。

 韓国大統領が光復節に個別の歴史問題に踏み込んで言及するのは異例で、政権末期の李大統領が今後も歴史問題で日本と争う姿勢を鮮明にした形だ。

 李大統領は演説で、「日本は我々と価値を共有する友邦だ」としつつも「歴史に絡まった鎖が未来に向かう足取りを遅らせている」と述べ、従軍慰安婦問題を提起。「2国間の次元を超えた戦時の女性人権問題であり、人類の普遍的価値に反する行為」と主張した。

 李大統領は一方で、日韓が領有権を争う竹島問題に触れなかった。李大統領は10日の竹島上陸で同島支配の意思を内外に誇示したが、日本の強い反発を招き、韓国内でも「問題を国際紛争化させた」との批判が出ている。韓国大統領府高官は、李大統領が竹島に触れなかったのは、「既に(上陸という)行動で立場を表明したからだ」としている。

 李大統領は昨年12月の日韓首脳会議以降、日本政府による慰安婦問題の解決を強硬に求め、その後の日本側の対応への不満が今回の竹島上陸の背景にあったと説明している。

 李大統領は14日、天皇陛下の訪韓の条件に朝鮮の独立運動家らへの謝罪を要求するなど、対日批判を強めている。15日の日本の一部閣僚らによる靖国神社の私的参拝に対しても強く反発するとみられる。

 対北朝鮮関係については、北朝鮮が「変化を模索しなければならない状況になった。我々はこの変化の推移を注意深く見守る」と指摘。「北朝鮮住民の人道的状況に留意しつつ、対話の門を開いている」と、金正恩第1書記に改めて対話を呼びかけた。>(8月15日、読売新聞電子版)