雑誌
この国は金持ちと貧乏人に分断された
新・富裕層と新・貧困層の対決が始まった!

第1部 罵り合う金持ちと貧乏人、
それぞれの生活と主張

「税金払わないなら日本を出ていけ」「相続税100%にして同じ土俵で戦ってみろ」「脱税している金持ちを死刑に!」

 縮小し続ける経済下にあって、小さいパイを食えるのはわずか。残りは貧困に落ちる。「社会主義が最もうまくいった国」と揶揄されるほど国民が平等を満喫していた日本。あの頃にはもう戻れない。

表に出ていない本当の姿

 日本でいま、富めるものはますます富み、貧しいものはさらなる貧困に堕ちていく超「格差社会」が幕開けしている。

 会社の倒産やリストラで職を失った40~50代の中高年が、信じられないほどの貧困にあえいでいる。いままで見たこともなかったような新・貧困層が生まれている。

「正社員としての再就職がままならず、しかも年齢的な理由でアルバイトにすら採用されず、仕方なく最低賃金レベルの日雇い労働者として食いつないでいる人たちが貧困化しています。

 日雇いの仕事は製造業、引っ越し、チラシ配り、コールセンター、倉庫での荷積み作業など様々。仕事を求めて各地を転々とし、ネットカフェか健康ランドで寝泊まりする。それでいて最低賃金程度の時給だから、5時間働けても4000円弱の日当にしかならない。交通費も自己負担で、ネットカフェへの支払いやその日の食事に使えば、翌日に仕事がなければあっという間に貯えがゼロになってしまう」(派遣ユニオン書記次長の星野雄一氏)

 つい先日までスーツで決めていた中高年が、打って変わって隊列をなすように日銭を求めて全国を転々とする姿は想像するだけでおぞましいが、これが日本に突如として大量に出現した新・貧困層の一つの形である。

 金持ちの世界でも、新・富裕層といわれる人たちが現れ始めた。公的なデータを見ると日本の富裕層は資産家、医者や弁護士などが多数を占めていることになっているが、現実は違う。新聞やテレビではあまり報じられないその実態を、本誌が真っ先に紹介しよう。

「組織に属さない新しいタイプの"自営業者"です。外資系証券から独立した金融コンサルタント、最新療法が人気という美容整形医、特許ビジネスで稼ぐ弁理士、ネット関連の起業家や新興企業を顧客に持つ弁護士など。

 それぞれ職種は違うものの、互いに顔見知りだというのがポイント。『上場したい』『弁護士を見つけたい』などというそれぞれのニーズを満たし仕事を融通しあっているのが特徴で、倍々ゲームで人脈を増やすことでビジネスを拡大させている。年収は数千万円以上から億を稼ぐ者もいる。六本木、西麻布、赤坂、品川あたりの高層マンションに住んでいる人が多いですね」(富裕層向けのコンサルタント業者)

 経済評論家の山崎元氏も、日本でついに超「格差社会」化の傾向が現れ始めたと指摘する。

「東京では子どもの学費も払えない人が多く住む区域がある一方で、子どもに高い教育を受けさせようとする金持ちが学校が多い文京区などに多く住むようになってきた。格差が日本以上に固定化しているイギリスのロンドンでは、同じような職業や収入の人たちが特定の地域に集まって、どのような家に生まれたかによって将来の職業まで決まってしまう。東京もロンドンのように金持ちと貧乏人が異なる場所に住み、まったく別の価値観を持って生きる社会に近づき始めているということでしょう」

 超「格差社会」は水面下でじわりじわりと進んでいる。東京で最も所得水準が低いエリアに足を運ぶと、その実態がさらに浮かび上がってきた。

 同エリアのとある駅を降りてみると、まず視界に入るのは都営住宅。住宅街や飲食店街と交差するようにサラ金の無人ATMや今では珍しいテレクラ店も堂々と営業している。パチンコ屋が何軒も立ち並び、どの店も流行っている。店員によれば「ここに来るのはほとんど地元の人。主婦と年金をもらっている人が大半ですね」。一人で遊んでいた主婦が言う。

「タバコも吸えるし、冷房もきいてるし、仲間とも会える。嫌なことも忘れられるから、毎日来るよ」

 救急車がサイレンを鳴らしながら通り過ぎて止まった。警察官も駆けつけてくる。一人の老人が仰向けに倒れている。近づくと、警察官が「おじさん名前は」「いつから飲んでるの」と、白昼の酔っぱらいだった。

 都営住宅群は何度も外壁の塗り直しをしているようだが、老朽化が目に付く。住民の高齢化が進んでいるようで、孤独死も多いという。敷地内の家庭菜園にはトマトやなす、ピーマン、ゴーヤにかぼちゃなどが実っている。鑑賞用ではなく、食べることを目的とした切実な畑だった。

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