勝間和代(経済評論家)×升永英俊(弁護士) 第2回「首相公選は夢ではなく、現実的な政治の課題だ」
〔左〕升永英俊さん(弁護士)と〔右〕勝間和代さん(経済評論家)

第1回はこちらをご覧ください。

勝間 一人一票になっていないという不条理は、民主主義の欠陥です。その欠陥を、そしてそもそも民主主義がなんたるかを、日本人一人ひとりが理解していないんじゃないか。升永さんはそうお考えになっているわけですね。

升永 そういうことです。だからこの運動は、民主主義を勉強する勉強会でもあるんですよ。アメリカ人は220年前、命を賭けてイギリスと戦い、血を流して「人間は生まれながらに平等に生まれたんだ、権利は同じなんだ」ということをDNAに叩きこんだ。そういうことをわれわれは一回もやっていないわけです。

 民主主義というのは、戦勝国に押しつけられて、屈辱的に受け入れたものでしかない。自分のものとするためにはやはり、自分から民主主義を掴むことをしないといけない。それがこの運動だと私は思うんです。

民主主義を勝ち取るための革命

勝間 平たく言うと、一人一票運動とは、日本人の市民に対する『革命のススメ』であると。

升永 うん、正確に言うと『民主主義革命のススメ』です。

勝間 ある意味、「一人一票」というのはシンボルであって、その背景には自分たちが民主主義を勝ち取るためには、どういう革命を起こさなければならないかという問題意識がある。升永さんは、実は革命をやろうとしているんですよね。

升永 もちろん。

勝間 そこについて、どうしても「一人一票」の部分だけが注目されてしまうので、何か「偉い弁護士の先生がなんか頑張っているね」といってサラッと流されている印象があるんですよ。

升永 ははは(笑)。「革命」と言ったら、みんな興味を持ってくれるかね?

 でも「革命」って言っちゃうと、僕らの世代はどうしても共産主義革命になってしまうんだよね。だから言いたくない(笑)。革命という言葉が一人歩きするといけないんだけれど、「民主主義革命」という六文字にすればみんな抵抗感はないのかな?

勝間 理解は進むと思います。

 私は日本人の中にも、「一度も民主主義がなかった国・日本」という認識で、「日本は本当の民主主義国家じゃない」という共通基盤を保っている人はある程度いると思うんです。ただ具体的に、「どうすれば民主主義が手に入るか」という方法論が分かっていない。

 その一つの手段が、升永さんのおっしゃる一人一票の実現であったり、最高裁判事に対するさまざまな意見表明であったりすると思うんです。例えば大阪維新の会も一つの革命ですよね。たまたま私のマッキンゼー時代の先輩が、大阪市のアドバイザリーの一人なので詳しく話を聞いたんです。

 これまで大阪ではPDCAサイクル、つまり計画を決め(プラン)、実行し(ドゥ)、成果を確認し(チェック)、ダメだったらやり直す(アクション)というサイクルが、一年間に一回転するかどうかだったというんです。予算を決めて一通りやって、見直すのが年度末で、「じゃあまた頑張ろう」という形で回っていた。

 それがトップが橋下さんになってから、一週間単位に変わったそうです。

升永 そこを変えるのは天才だね。僕だったら、たぶん「一ヵ月で」と思うね。一週間というのはスゴイ。そこは敵わないね。

勝間 そのために、大阪のさまざまな変化というのが一年間でそれまでの52年分進むようになった、というんです。

升永 彼はやっぱり革命家だな。その発想は常人には出来ないね。

勝間 月曜日に橋下さんがいろんな指示を出して、一週間たったときに各担当者が報告しなきゃいけないそうです。そしてそこでまた新しい指示が出て、ということを繰り返している。

 当然、橋下さんだけでは仕事が回らないので、専門家をどんどん呼び寄せて詳しい実務はその専門家が行うと。橋下さんはとにかくチェックしてお尻を叩く。そのことを一週間に一回、必ずやるわけです。ある意味、これも一種の革命です。

 じゃあ、なぜ橋下さんがそれを出来るかというと、そこには圧倒的な市民の支持があるからなんですよ。

升永 そうなんだよね。彼がなぜあんなにパワーがあるかというと、そこに行き着く。

 彼の革命のもっとも凄いところは、大阪府の府の職員の給与水準を、3~14%強までカットしたことです。山県有朋が明治時代に官僚制を作って以来、官僚の意に反して官僚の給与を下げたことは日本の歴史にない。まさに革命なんですよ。

 なぜ橋下さんがやれたかというと、彼は大阪府の職員に対して、「私を一人と思うな。私の後ろには180万人の府民がいるんだ」とやったから。だから官僚と闘えたんですよ。つまり知事選は一人一票なんです。

勝間 そうですね。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら