政局
混迷する民主党よりもましといえるのか?!世にも不思議な自民党の「電波行政提言」は時代に逆行している

文:吉川尚宏

 2012年8月7日に自民党総務部会通信・放送政策小委員会名で「これからの電波行政のあり方に関する提言」がまとめられた。

 今回の提言のポイントは「1.電波を安心して利用できる環境の整備」、「2.透明かつ迅速な周波数の割当の推進」、「3.産業界の総力を結集した電波新産業の創出」、「4.情報セキュリティ対策の充実・強化」、「5.災害対策の強化」、「6.電波利用料制度全体の見直し」であるが、より大きな論点は周波数オークションを導入するかどうか、電波利用料の歳入と歳出をどうするか、である。

 筆者は総務省の「周波数オークションに関する懇談会」及び「電波有効利用の促進に関する検討会」にそれぞれ構成員として議論に参画してきたが、そうした立場から見ると、今回の自民党の提言にはいくつかの矛盾や問題点があるように思える。特に周波数オークションと電波利用料については、課題認識は筆者と共通であるが、結論は180度異なる。以下、自民党の提言内容の不可思議な点を指摘したい。

透明かつ迅速な周波数割当を推進しながらオークションの導入に反対する矛盾

 自民党の提言では、透明かつ迅速な周波数の割当の推進を求めているが、これは筆者のみならず、電波行政に携わる関係者や電波の利用者等にとっては異論がないところである。ただ、理解に苦しむのは最後の節である。

〈  なお、電波は有限希少な国民共有の資源であり、公平且つ能率的な利用の確保により、国民の安全・安心の確保、国民生活の利便性の向上、社会的な課題への対応、国際競争力の強化及び国際協調に資するよう、電波利用環境を維持することが必要である。
こうした観点から、周波数オークションの導入には反対である。  〉

 電波は有限稀少な資源であるからこそ、有効に利用させる必要があり、そのための仕組みが周波数オークションである。周波数オークションの特徴は次のとおりである(詳細は懇談会報告書を参照)。

●対象とする周波数の経済的価値を最も高く評価する者を競売により選定する制度であり、落札者は払込金も含めた投資を回収する必要性からこれまで以上に電波を効率的に利用して事業を行うことが期待される。
●電波の割当てにおいて従来行われてきた比較審査方式に比べ、行政裁量の余地が少なく、手続の透明性や迅速性の確保につながることも期待される。
●無線局免許手続の透明性・迅速性の確保等を通じ、新規参入や市場競争を促進し、イノベーションの促進や国際競争力の強化につながることが期待できる。