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坂井直樹「デザインのたくらみ」
2012年08月21日(火) 坂井 直樹

デザインの歴史 ~わずか160年の変遷

バウハウスの外観(1928年撮影)〔PHOTO〕gettyimages

 アーツ・アンド・クラフツ運動を通じて生まれたデザインを再定義したのはドイツのバウハウスだった。バウハウスとは、1919年にドイツ・ヴァイマルに設立された統合造型学校、ないしはその流れを汲む芸術運動のことである。

 1933年、政治的に対立したナチスによってわずか14年間で閉校されてしまったのだが、工業と芸術の統合を目指した表現理念はモダニズム建築に大きな影響を与え、デザインという概念が確立される上でのターニングポイントとなった。そして、民衆のためのデザインの価値向上を目指したバウハウスでは、ようやく機械による大量生産もポジティブに評価されるようになった。

 バウハウスの主要メンバーは、ナチスに迫害されたのち米国に亡命した。彼らが伝えたバウハウスの理念は米国の建築やデザインの発展に大きく寄与した。しかし米国におけるデザインは同時に「経済発展を支えるマーケティングの一環」でもあった。結果として表層デザインの差別化が加速した。1930年代に登場した「流線型」などの新しいスタイルは人々の消費への意欲をかきたてた(機能面から考えると鉛筆削りが流線形である必要はない)。

 一方、バウハウス亡き後、戦後ヨーロッパのデザインはブランドの価値創造のために用いられ、ドイツとイタリアがその牽引役となった。ドイツではマックス・ビルが中心となり、バウハウスの理念を継承したウルム造形大学が設立された。これに対してイタリアでは、ドイツの質実剛健とは異なるラテン的明るさやファッション性、職人の高度な手仕事を特徴とするデザインが発達した。

 日本も今や歴としたデザイン先進国となり、多くの優れたデザイナーが活躍している。お隣の韓国でも、サムスン製品などを見てもわかるように、優秀なデザイナーが増えつつある。今後はBRICsをはじめとして工業化が進みつつある国々で、新しい感覚を持ったデザイナーが続々と登場することだろう。

【デザインの歴史】
産業革命→工業化のためのデザイン誕生(約160年前)→大量生産→バウハウス開校→デザインを定義→バウハウスの主要メンバーが米国に亡命→経営資源としてのデザイン(米国)→ブランド価値としてのデザイン(ヨーロッパ)

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