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坂井直樹「デザインのたくらみ」
2012年08月21日(火) 坂井 直樹

デザインの歴史 ~わずか160年の変遷

1962年に発表されたバウハウススタイルの椅子〔PHOTO〕gettyimages

 このコラムの「デザインのたくらみ」というタイトルは、ある意味二重読みになる。デザインにはもともと設計、仕組み、企画など"企む"という意味が入っているからだ。元来、工業的に作られたモノでデザインされていないモノはない。つまり、デザインはいたるところに存在しありふれている。その割に何故か、難しいものと思われているようだ。

 デザインとは観察による問題発見・問題解決である、と合理的に定義すれば、むしろ科学に近い。ちなみに僕の講演はいつも「デザインって何ですか?」というシンプルな質問から始まる。このコラムを通じて、すべてのビジネスパーソンにデザインを軽やかに語れるようになってほしい。

 そもそもデザインはいつ・どこで生まれ、どのような道のりを辿ってきたのだろうか。今回はデザインという概念の誕生とその歴史を振り返ってみる。

 意外に思われるかもしれないが、デザインの歴史はたった160年しかない。始まり(つまり工業の始まり)は19世紀、産業革命の結果、イギリスでは工場で大量生産された安価な製品が広く普及した。しかし商品は粗悪で、かつて存在した職人の労働の喜びや手仕事の美しさは消えていた。機械による工業化は「不器用な手」と批判され、機械は人間よりも劣るとして、工業よりも工芸(クラフト)を指向する動きが一時期強まった。

 こうした新しい文明に対しての抵抗は一般的なことだ。手仕事の重要性を強調する運動は「アーツ・アンド・クラフツ運動」と呼ばれ、意外にもデザインという概念が誕生する最初のきっかけとなった。

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