自民党がJAL再上場に反対する理由。従来型の業者行政を脱し、EU並みの国家補助ルールを導入して公正で魅力的な市場形成を!
公的支援を受け身軽になったJAL〔PHOTO〕gettyimages

 「日本航空の再上場は見合わせるべき旨決議する」

 新聞でも報道されている通り、自民党国土交通部会は7月13日、日本航空(JAL)再上場反対の決議を採択した。自民党が再上場に反対する主な理由を決議文に見ると、以下の通りだ。

 「日本航空は公的支援の恩恵を受けながら、公共性の高い地方路線から撤退」

 「黒字会社がこれからも巨額の法人税の免除等の恩恵を受け続け事業拡大することは、到底国民の納得が得られるものではない」

 「そもそも本件は航空政策に関する明確なビジョンが欠如している」

 何故これほどまでにJALの再生が物議を醸しているのか。

 ご存じの通り、JALは一昨年、債務超過に陥り経営破たんした。民主党内閣は企業再生支援機構の下での再生を試み、会社更生法も適用しながら、5,215億円の債務免除、3,500億円の公的資本の注入などの財政的支援を行った。

 一方で、羽田-パリ線、羽田-サンフランシスコ線、成田-ボストン線など国際線の新規路線を次々に開設、格安航空会社(LCC)への出資も実現するなど、国交省の後ろ盾なくしてあり得ない「救済策」が矢継ぎ早に打たれた。政府の莫大な支援を受けて再生したわけである。

法的更正手続きと公的資本の「二重恩恵」

 地元の松山と東京をしばしば往復する私自身、JALも全日本空輸(ANA)も利用する。複数の航空会社がサービスや料金で競争し、切磋琢磨することが、いかに利用者に利益をもたらすか、身を持って感じている。だから、JALの再生それ自体を否定するわけではない。一生懸命職務に取り組んでいる職員の姿を、私はいつも見ている。

 私が問題視しているのは、JALの再上場ケースをきっかけに、日本には、政府の業者行政はあっても、他の同業者もいる市場における公正な競争を確保する政策が不在であることが、誰の目にも明らかになってきたことだ。

 私が地元でJAL問題の受け止めを若手経営者などに聞くと、異口同音に「何か変だ。おかしい。経営破綻した企業が民事再生法でむしろ以前より身軽になって蘇り、安値受注に走り出して我々同業者を圧迫し始めるのと良く似ている」と言う。

 なぜゾンビ企業が健全な同業他社の足を引っ張るような事態になるのか。それは、破綻した企業を国が公的資金などを使って救済する場合の明確なルール、ガイドラインが日本には存在しないからである。

 国が民間企業を救済したり、支援したりすると、当然ながら、その業界の競争状態を大きく歪めることになる。JALを国の手厚い支援で再生させた結果、破綻していない競合企業を含む市場全体の競争条件がいびつになった。自助努力でギリギリの経営をしてきた会社よりも、経営に失敗し、破綻した会社の方が有利になるとすれば、こんな不公正はないだろう。

 具体的にみてみよう。今回JALは会社更生法の適用によって欠損金の繰越が認められること等により、9年間で少なくとも3,110億円もの法人税が免除されるという。私も8月7日の衆議院国土交通委員会でこの問題を取り上げたが、こうした破綻に際して法的更正手続きの恩恵を受けながら、更に公的資本も上乗せして受け取る、言うなれば「二重恩恵」を民間企業が享受したケースは、世界を見渡してもJAL以外にはない、ということを羽田雄一郎・国交相は率直に認めた。

 国交省は、注入した公的資本3,500億円は上場によって市場から回収できると言っている。だが、それだけでは投入した国民の税金をすべて回収できたことにはならない。注入から再上場までの約2年半の利息を考えただけでも、仮に1%としても約90億円になる。

 また、過剰かつ二重の恩恵を与えてJALが競争上優位に立ったことで、同業他社の収益が圧迫され、納税額が減少したと考えられる分も、形を変えた国民の負担である。これらは再上場しても永遠に返ってこない「国民負担」なのだ。国会でも私の質問に対し羽田国交相は「(返ってこない)国民負担はある」と認めている。

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