「カネ」と「情報」で民主党も自民党も操る「霞ヶ関最強官庁」財務省の「常識」が露呈した「ニコ生」

 8月10日、とうとう消費税増税法案が成立した。共同通信社が11、12日実施した全国電話世論調査によると、消費税増税法成立に基づく税率引き上げに反対は56・1%、賛成42・2%だった。近いうちに国民に信を問えば、民自公で4割の票を分け合い、その他で6割となるだろう。これほどまで国民を説得しないまま、増税が行われてしまった。もちろん増税の黒幕は財務省だ。

 本コラムでは、菅政権になってから菅総理が財務省に増税で洗脳され(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/539)、与謝野氏を入閣させ増税路線が加速し(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1607)、野田政権になって完全に財務省に操られてきたこと(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/18376)を一環して書いてきた。

 一方で、谷垣自民党総裁も増税しか頭にないほどの財務省が思い通りに操れる政治家で、野田・谷垣両氏は財務省の生んだ増税双生児で、増税大連立に突き進んできたと断言してきた。その増税連携関係は、最後の最後まで盤石だった。

 9日、みんなの党が主導して自公を除く野党か内閣不信任案が出された。先週のコラムで書いたように、この内閣不信任案に対する野党自民党の最善手は、もちろんちゃぶ台返し、3党合意破棄で賛成である。そうすれば、次期総選挙で自民党は第一党に返り咲き、政権奪取となっただろう。しかし、実際には欠席。野党として無様であった。

財務省が支配する「カネ」と「情報」

 野田・谷垣両氏は増税双生児だが、ふたりには兄がいる。長男は勝栄二郎財務事務次官だ。増税劇の裏シナリオが財務省であることは周知の事実である。消費税増税の3党合意の文書も役人がドラフトを作ったのだろう。私の経験でも、公党間の合意文書のドラフトを書いたことがあるので、当然そのくらいのことはやっているはずだ。

 これほどまで民主と自民を事実上支配する財務省とはどんな役所なのかと尋ねられることが多い。いうまでもなく霞が関最強官庁だ。財務省に入省すると(私の場合、1980年に大蔵省入省だが)、「我ら富士山、他は並びの山」と教えられた。その理由は、「カネ」と「情報」を握り、時間があることだ。

 「カネ」とはいうまでもなく予算編成権を握っていること。実際、財務省の課長は他省の局長を平気で呼びつける。課長が受ける接待も、よその局長並み。ランクが一段、二段違っていて当たり前なのである。

 「情報」とは、官邸その他に多数の出向者がいて情報網が凄いこと。歴代の総理は、財務省の情報網を皆ほしがっていた。この情報網のうちもっとも協力なのが国税だ。本来外局として独立的な存在である国税庁幹部はほぼ全員財務省キャリアである。このため、国税庁採用キャリアは幹部へは昇格できない。

 また、地方の国税局、例えば東京国税局調査査察部長は財務省キャリアの指定席となっている。そのポストをやった後は、官邸などで政治家に近いポストに就くのが慣例になっている。部長として査察部員の人事を行っているので、政治家にとっては「怖い」存在だろう。鳩山政権で、母親からの贈与が問題となった後に鳩山氏の力が急速に失われたのは課税上の問題で財務省に弱みを握られたという噂がある。政治家やマスコミに限らず誰もがおそれる部署だ。

 そして管理職が暇なことは案外見落とされるポイントだ。予算編成期は忙しいと思い込むが実は暇なのである。もともとシーリングで予算はだいたい決まる。そこで有能な主査なら9月か10月には相手省庁と握れる。後はいかにも財務省が相手省庁と侃々諤々(かんかんがくがく)の議論をしているかのように振る舞う。管理職は、部下のその様子を見ていて、適当なタイミングで政治的な根回しやマスコミ対応するだけだ。

 財務省はしばしば軍隊組織に喩えられるが、管理職は後方で戦火に会わない将校のようなものだ。その有り余った時間を使って、政治家やマスコミへの絨毯爆撃を行う。マスコミの論説委員クラスはほとんどが財務省の「ポチ」である。かつ、財務省は論説クラスが解説に困らないようにかれらの指南役になっている。

 一般の人の前に財務省職員はほとんど出てこないので実態がわからないだろう。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら