現代ビジネス×クオンタム流経営塾特別セミナー 出井伸之×吉田和正 第1回 「産業構造が猛烈なスピードで変わるインターネットエコノミー時代に成功する企業はなにをしているのか」
司会:磯山友幸(経済ジャーナリスト)
〔左〕出井伸之氏(元ソニーグループCEO/現クオンタムリープ代表取締役)、〔右〕吉田和正氏(インテル代表取締役)

磯山: 本日は「グローバル市場のなかでどんなトップリーダーを作っていくか」という条件についてのお話ということで、人作り、あるいは未来を目指して日本がどう変わっていくべきか、ということを、出井さん、吉田さんにうかがっていきたいと思います。

 まず出井さんに現状認識のお話を簡単にしていただきます。そのあと吉田社長に10分間ほどお話をいただくという段取りで、話の口火を切っていきたいと思います。では、出井さん、よろしくお願いします。

XYZとABCのスパイラル

XYZ戦略とABC戦略 図解
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出井: まず最初にこの図をみてください。この図ではXYZというのとABCというのがあるんですが、現在の延長線上でいくというのがXYZで、変わりたいというのがABC。すべての組織はこの二つのせめぎ合いになっているんですね。

 ですから、ある意味では過去の成功体験がXYZです。皆さんの会社のなかでも、XYZをやっている人とABCをやっている人がどれくらいの割合でいるかというのを想像してください。おそらく、完全にXYZの人が多いと思うんですよ。

 その中で、いちばん変わらなければいけないと僕が思っているのは社長なんです。社長がスタッフに「わが社は変わっていかなければいけない」と言って新規事業戦略やそういう組織を作ったりすれば、実際にXYZとABCの間で大転換が起こってくるわけです。

 これは本来は連続線上で続いていくんですね。この二つがスパイラル状になっている。ABCというかつての新ビジネスがだんだん古くなってくるとXYZになって、またそこからABCが起きて、というところなんですね。

 たとえば日本の内閣が考えていることを見ていると、ほとんど全部がXYZです。消費税を10%上げようというのは、「過去の延長線上の数字によると10%上げればかなり財政赤字が解消できる」ということです。本当のバリューを作るなら日本が変わっていかなければならない。ABCがなければいけないということになりますが、その話はあまり出ていないんですね。

 そこを批判するのは簡単なんですが、私にも自分の心のなかにこの二つがある。「体重が増えたから痩せなければいけない」ということでも同じなんですね。今、そこにクオンタムリープの社長の平内優がいますが、3ヵ月くらい前に医者に言われてから急に野菜を食べ出したりしている(笑)。3ヵ月経つと大分痩せて身体が締まってきて、彼のなかではそれが大転換だったんです。そもそもは検査を自分でやって、そこで医者にいろいろ言われたということからその変化が起こったわけですね。

 人間の身体のなかでもXYZとABCが常にせめぎ合っているということなんですが、実際には過去の延長線上でやったほうが楽だから、XYZでやってしまうということがあります。これはすべての組織に当てはまります。自分の身体もそうだし、企業もそう。そこがポイントです。

 これは「どうしてこんなに企業というのはなかなか変わらないんだろう」という僕の問題意識でもある。行政官庁はほとんどこのXYZをやっている。過去の法律で緊急事態でも対応しようとするところがあって、それでは判断を誤るときがある。

 僕は何もXYZが全部ダメだと言っているんではないんですよ。XYZの中の何を捨てて何を新しい構造に採り入れていくかということを考える必要があって、。そういう意味ではABCをやるにしてもうまくXYZの良さを活かすことが重要です。

 自分の体重でさえままならないわけですから、まして企業なんかもっと変化しにくい、というのが僕の基本的な考えです。まずはこれを頭に入れていただいて、それで吉田さんの話を聞いて、みんなでディスカッションをしていきたいと思います。

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