[ロンドン五輪]
<第14日(9日)>なでしこ、米国に敗れて銀 レスリング・吉田は3連覇

女子バレー、3位決定戦へ ボルト、史上初の2種目連覇

なでしこ、笑顔の銀メダル

 女子サッカーの決勝が行われ、日本女子代表(なでしこジャパン、FIFAランキング3位)が米国女子代表(同1位)と対戦したが、敗れて銀メダルとなった。日本は前半8分、MFカーリ・ロイドに先制点を奪われ、その後もロイドに追加点を決められて突き放される。後半18分にFW大儀見優季(ポツダム)のゴールで1点差に詰め寄ったものの、追いつけなかった。敗れたとはいえ、男女を通じて五輪では初の銀メダル。日本サッカーの歴史に偉大な足跡を残した。

◇決勝(ロンドン)
日本女子代表 1-2 米国女子代表
【得点】
[日] 大儀見優季(63分)
[米] カーリ・ロイド(8分、54分)

 奇跡は起きなかった。試合終了の長い笛が鳴った直後、なでしこたちはピッチ上で大粒の涙を流した。それでも、表彰式で日本女子サッカー初のメダルを受け取る彼女たちは、満開の笑顔を世界に振りまいていた。

 序盤から米国のロングボール主体の攻めに押し込まれた。前半4分、FWアレックス・モーガンに抜け出され、PA内に侵入してからシュートを打たれる。直後にはFWアビー・ワンバックにPA手前から左足で打たれた。いずれもゴールにはならなかったが、なでしこはのっけからエンジン全開の米国に対して防戦一方となる。

 すると8分、先制点を奪われる。PA内左からモーガンにクロスを上げられ、これをPA外から走り込んできたロイドに頭で叩き込まれた。日本はゴール前で人数は揃っていたものの、後ろから飛び出してくる相手をとらえきれなかった。

 しかし、先制されて逆に冷静になったのか、日本も持ち前のパスワークからボールを支配し、チャンスをつくりだす。17分、MF川澄奈穂美(INAC神戸)がPA内左サイドを抜け出し、左足のシュート。DFに当たってこぼれたところに大儀見が詰めるが、相手GKとDFに体を張ってブロックされる。

 直後には、大儀見が左サイドからのクロスに合わせてPA内中央でヘディング。しかし、GKホープ・ソロに触られてボールはクロスバーに当たり、ゴールには至らなかった。立て続けに決定機を迎え、同点に追いつくのは時間の問題かと思われた。

 だが、ゴールが遠い。33分、MF宮間あや(岡山湯郷)がPA内中央でシュートを放つがクロスバーを直撃。38分にも、FW大野忍(INAC神戸)がPA手前から狙ったが、ボール1個分、右に外れた。結局、1点ビハインドのまま、試合を折り返す。

 後半の早い時間帯に追いつきたかった日本だが、9分、逆に追加点を許す。またもロイドに決められた。センターサークル付近からドリブルで長い距離を突破され、PA手前から右足を振りぬかれる。鋭い弾道のボールがゴール左下に突き刺さった。日本の守りは仕掛けてくるロイドに、ズルズルと下がりながら対応してしまった。誰かが激しくアプローチに行き、相手を抑えてほしかった。金メダルが遠のく痛い失点になった。

 だが、なでしこたちは諦めない。ボールポゼッションを高め、まず1点を返しにいく。そんな18分、ついにゴールが生まれた。決めたのは2戦連続ゴール中の大儀見だ。PA内右サイドの崩しから、MF澤穂希(INAC神戸)のシュートのこぼれ球を左足で押し込んだ。奇跡の逆転劇を期待させる一撃に、ウェンブリースタジアムが異様な盛り上がりに包まれた。

 この1点から試合はさらに一進一退の様相を呈していく。24分、GK福元美穂(岡山湯郷)がDFレイチェル・ビューラーに至近距離からシュートを打たれるが、何とか足に当ててファインセーブ。対する日本は28分、宮間の右サイドからのFKがゴールを襲うも、ソロにパンチングで防がれた。

 試合を振り出しに戻したい日本は32分、DF鮫島彩(仙台)に代えてFW岩渕真奈(日テレ)を投入。DFラインを3バックに変更し、3トップという攻撃的な布陣で同点ゴールを目指す。

 迎えた38分、代わったばかりの岩渕が決定的チャンスをつくりだした。左サイドでパスを受けたDFにプレスかけてボールを奪うと、そのままPA内に侵入。GKとの1対1から右足を一閃する。狙いすましたシュートがゴール右へ。しかし、ソロがこれを左手一本で防ぐスーパープレー。日本は、追いつく最大のチャンスを逃してしまった。

 残り時間はあとわずか。佐々木則夫監督は大野に代えてFW丸山佳里奈(高槻)をピッチへ送り出し、前線を活性化させて同点弾を狙いにいく。だが、FWのワンバックまでもがゴール前に戻って守る米国守備網を、再びこじ開けることはできなかった。スコアは動かず、90分とアディショナルタイムの2分が経過し、なでしこたちのロンドンでの冒険は、銀メダルで幕を閉じた。

 試合後、佐々木則夫監督は「素晴らしい試合だった。(北京からの)4年間は素晴らしい戦いだったと(選手たちを)称賛した」ことを明かした。詰め掛けた8万人以上の観客も指揮官と同様の思いだったに違いない。銀メダルを受け取るなでしこたちには、優勝した米国に勝るとも劣らない賞賛の拍手が送られた。

 キャプテンとしてチームを牽引した宮間は「もちろん金メダルを獲りたかったが、銀メダルを獲れたのもこの素敵な仲間たちとだったから。すごく誇りに思う」と振り返った。ボランチとして攻守両面で貢献した澤は「チーム全員でやり切った結果。悔いはない」と言い切った。笑顔の銀メダルは、選手全員がすべてを出し切ったからこそ生まれたものだった。

 だが、ロンドンでなでしこの挑戦が終わるわけではない。今後はW杯の連覇、そしてリオデジャネイロ大会での金メダルが日本女子サッカーの目標となる。それらを成し遂げるためには、パスサッカーのさらなる成熟、世代交代の推進など、さまざまな課題をクリアしなければならない。もっと強く、もっと美しく。物語の第2章がここから幕を開ける。