ロンドン五輪特集 恩師・肉親が語る「サムライアスリートの少年時代」
'09年に奈良で開催されたインターハイの際の写真。やり投げと円盤投げで2冠を達成し、トロフィーを持つディーン(中央)と顧問の大久保氏(左下)

ディーン元気の素質を開花させた「余白トレ」

大久保氏は専門が円盤投げで、当初ディーンのことも円盤投げの高校王者に育てる発想しかなかったという

 兵庫県の尼崎市立尼崎高校の陸上競技部では、毎年11月に部員全員による「混成競技大会」を行う。各選手に普段とは違う種目にチャレンジさせるというレクリエーションの要素が強いイベントだ。陸上競技部顧問の大久保良正氏は語る。

「このイベントには二つの意味があります。一つは基礎体力作りが中心となる過酷な冬季練習を前に、遊び心ある内容で選手に楽しんでもらうこと。そして、もう一つは他の競技に隠れた才能を持っている選手を発掘することです」

 ロンドン五輪やり投げ日本代表、ディーン元気(20)が初めてやりを投げたのも、尼崎高校1年生の時に行われた混成競技大会でのことだった。神戸市立平野中学校時代から円盤投げ、砲丸投げの選手として知られ、高校でもインターハイを目指していた彼の投擲センスは誰もが認めるところだったが、やり投げに関してはまったくの初心者。しかし、大久保氏は彼の1投目を見て「これは大変な素材だ」と見抜いた。