毎日フォーラム~毎日新聞社

「維新」の消費税地方税化が波紋
次期衆院瀬の公約に 税源移譲論議の再燃に期待も[地方財源]

2012年08月18日(土) 毎日フォーラム
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 橋下徹大阪市長が率いる地域政党「大阪維新の会」が次期衆院選の公約の柱に消費税の地方税化を掲げ、波紋を広げている。今のところ一部政党を除き賛同の声は広がらず、地方からも困難視する見方が出るなど四面楚歌の様相だ。だが消費税の配分を巡っては国と地方が綱引きを繰り広げてきた経緯もある。民主党政権で埋もれていた地方への税源移譲問題がクローズアップされるきっかけになりそうだ。

 統治機構の抜本改革を強調する橋下氏はこのところ、消費税を全額地方税化する主張を前面に出している。7月5日にまとめた「維新八策」の中間案では地方税化と同時に地方交付税を廃止し、これに代わる地方間財政調整を創設する方針が記されている。

 現行の消費税5%は1%が地方消費税で1・18%が地方交付税として配分されている。1%を2・6兆円と換算すると、13兆円のうち2・18%分の約5・7兆円が地方の財源となっている計算だ。

 今回の一体改革で消費税率は2段階で15年10月までに10%に引き上げられる。引き上げる5%のうち1・2%は地方消費税、0・34%は地方交付税として合計1・54%が新たに地方財源として社会保障4分野にあてられる。合算すると10%のうち地方消費税2・2%、交付税1・52%の合計3・72%が地方分となる。これは総額26兆円の9・7兆円分に相当する。

 一方で国からは今年度ベースで地方交付税が16・6兆円配分されている。仮に維新の会の主張通り消費税全額が地方税化され交付税が廃止されると、現行5%の場合は地方全体では大幅な歳入減となってしまう。

 だが、税率10%に引き上げられればある程度の増収効果が期待できる。消費税全額26兆円が地方の財源になると現在の政府案ベースの地方消費税2・2%分と地方交付税との合計22・3兆円を約4兆円上回る。もっとも、交付税が廃止されると臨時財政対策債の発行も難しくなり、増収効果はさほど見込めないとの指摘もある。

 中央政党では「みんなの党」が地方税化に賛成している。だが、野田佳彦首相が国会答弁で「荒唐無稽のアジテーション」と一蹴するなど中央の受け止めは総じて冷ややかだ。地方も慎重意見が多く、橋下氏との連携に前向きな石原慎太郎東京都知事ですら「ちょっと無理だと思う」との認識を示した。

 まず一番に浮かぶのは「それでは、社会保障の財源をどう賄うのか」という素朴な疑問だ。今回の一体改革は地方消費税の従来分1%を残し、全体を社会保障分野に充当する建前だ。すべて地方財源とする場合、今後の社会保障の安定財源をどう確保するかが問われる。仮に所得税や保険料の徴収に偏ると現役世代に負担が集中する懸念もある。

 第2の疑問は、地方税化し地方交付税を廃止した場合に地方間の財政調整をどうするかという点だ。

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