消費増税法案採決と解散・総選挙の行方を占う三つ巴の攻防
政治生命を懸けた戦いが続く野田首相〔PHOTO〕gettyimages

 ロンドンではオリンピックが開催中で、連日、日本人選手の活躍に、国民は拍手し、勇気づけられている。とくに、注目されていなかった種目でスターが生まれたり、若い選手が着実に育ったりしているのを見ると、大震災からの復興にも力が出てくる。

 その熱い戦いと平行して、国会でも政党間の激しい攻防が繰り広げられている。政権与党の民主党と、消費税増税で野田内閣に協力する自民党・公明党、加えてそれ以外の少数野党の三つ巴の争いである。

 私が率いる新党改革は、最後のグループの一員であるが、8月3日(金曜日)午後、みんなの党、共産党、社民党、国民の生活が第一、新党きづな、新党日本と共に党首会談を開き、消費増税法案採決前に、内閣不信任案を提出することで意見の一致をみた。

 ここに至る経過を振り返ってみよう。まず最大の問題は、野田内閣が、民主党が選挙で約束したマニフェストをかなぐり捨ててしまったことにある。これは、有権者への詐欺行為であり、選挙で国民の代表が選ばれる代議制民主主義の根幹を覆す愚行である。財政政策、社会保障政策、防衛政策、エネルギー政策など、自民党の右派と変わらない政策を展開するのでは、何のために政権交代したか分からなくなってくる。

 政治の手法も、政治主導どころか、官僚主導のままであり、しかも、政官業の癒着という悪しき自民党政治までも真似るようになっている。古い自民党政治を終わらせ、日本を改革しようとして民主党に投票した有権者の期待を裏切り、政治への信頼を失墜させた野田内閣の責任は大きい。

 自民党、公明党の対応にも問題がある。税と社会保障の一体改革のみについて、野田内閣に協力するというが、それを国民に納得させるのは容易ではない。小選挙区制の下で、二大政党が手を握れば、大政翼賛会になってしまうし、そもそも自民党は、民主党とは政策が違うはずである。年金政策、子ども手当、後期高齢者医療制度など、水と油の政策を繰り広げていて、消費税増税だけで手を握ろうとするから、馬脚が露呈してしまう。

自民党は戦うのか、戦わないのか

 消費税増税は社会保障の充実のためであり、だからこそ国民もそれを承知するのである。しかし、肝心要の社会保障政策については、対立点は先送りし、国民会議を設置して、そこでの議論に任せるという。しかも、増税分を社会保障にのみ使うのではなく、公共事業のバラマキに使うという。

 まさに、国民を愚弄するのも甚だしい。政官業の癒着に先祖返りするのでは、政治改革も何もあったものではない。「コンクリートから人へ」が「人からコンクリートへ」と逆転してしまったのか。

 民主党の支持率が下がるのは当たり前であるが、自民党の支持率が上がるどころか、じり貧なのは、そのような改革逆行姿勢に国民がうんざりしているからである。国会運営についても、自公民の三党の密室談合で決まるのであれば、政治の透明性など失われてしまう。小政党であっても、一定の国民の支持があって存在しているのであり、それは日本社会の多様な価値観の反映でもある。少数政党の存在を無視するようでは、健全な議会制民主主義は不可能となる。

 8月6日からの一週間は、国会では、政党間の攻防が激しくなろう。自公以外の7野党は、消費税増税法案の採決日程が決まれば、すぐに内閣不信任案を提出する。自公は、それにどう対応するのか。反対すれば、野田内閣を信任したことになる。賛成すれば、消費税増税法案は廃案となる。一番対応に困るのは自公両党であろう。

 さらに、参議院自民党は、8日までに民主党が採決しないときには、問責決議案を提出するという。自民党は戦うのか、戦わないのか。野田首相は、10日までに採決するように民主党執行部に指示したという。

 内閣不信任案が否決されれば、この内閣は続く。谷垣自民党総裁が描く今国会中での解散・総選挙という戦略はどうなるのか。オリンピックとは全く異質の熱い戦いが、永田町でも繰り広げられている。

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