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あなたの隣にもきっといる 原発ポチたちの貧困なる「想像力」について 日本は変わらなくていい!?

「放射能の直接的影響で死んだ人はいない」「経済が悪化すれば原発事故よりひどいことになる」なぜ、いまだにこんなこと平気で言えるの?

 どうせ素人には原発の重要性なんてわからない。そんな傲慢な考えが、国民の反原発意識を高めているのに気づきもしない。ご高説を垂れるより、次の金曜日に官邸前デモを見に行ってはどうか。

何を言っているんだ!

「ご存知の通り、私は処分を受けた身ですので、勝手に個人の意見をマスコミの方にお答えすることはできません。まずは広報に話を通していただいて、広報が回答しろということであれば、いくらでも回答させていただきますので」

 終始落ち着いた口調でそう語ったのは、中部電力原子力本部原子力部の岡本道明課長である。

 現在、資源エネルギー庁が全国11ヵ所で行っている意見聴取会。これは2030年の総電力に占める原発の割合について、広く国民の意見を聞くという目的で行われているものだ。7月16日に名古屋で行われたその意見聴取会で、「個人として参加した」と言いながら、いかに原発が必要かを滔々と述べたのが岡本氏だった。岡本氏はこの際の発言により、中部電力から注意処分を受けたばかりだ。

 '30年の原発依存度を「0%」「15%」「20〜25%」という三つの選択肢のなかから選び、その理由を参加者たちが語るなかで、当然のように「20〜25%」を選んだ岡本氏は、本誌の取材依頼にも、悪びれる様子はなかった。

「原子力発電に関しての議論になると、安全か経済かの二項対立になることが多い。具体的には経済成長よりも安全や命のほうが大事ですというような論調になります。しかし、私はこの二つをまったく別のものとは考えておりません。薬や医療技術があっても、おカネがないために救えない命がたくさんあります。

 昨年の福島事故もそうだと考えています。放射能の直接的な影響で亡くなった方というのは一人もいらっしゃいません。それは今後5年、10年経ってもこの状況は変わらないと考えております。では、実質的な福島事故の被害ってなんでしょう? これは警戒区域等を設定することで家や仕事を失ってしまったり、風評被害や過剰な食品基準値の設定で、せっかく作った作物が売れなくなってしまうということから、先行きを悲観して自ら命を絶たれてしまったり、体調を崩してしまったり。これはまさに経済的な影響が安全や命を侵してしまった例であると考えます」

 意見聴取会でのこうした岡本氏の発言に、会場からは「何を言っているんだ」などと批難の声が上がった。しかし、表情を変えることもなく、岡本氏の演説は続く。

「経済が冷え込んで、消費が衰退して、企業の国際競争力が低下してしまえば、福島事故と同じこと、あるいはそれ以上のことが日本全体で起こると考えております」

「経産省の試算では、0%シナリオを選択した場合には、家庭の電気料金が最大2・3倍になると言われています。10%値上げするということですらあれだけ大きな反響があるのに、それができるんでしょうか?」