ムカつく相手はネットで写真公開、校門前で威嚇 大津いじめ自殺事件とネット社会の病理 いじめたヤツをいじめる、この国よ

2012年08月09日(木) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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「ネットの情報を鵜呑みにするのは危ない」と語るものの、今回ネットで仕入れた情報を精査している様子はない。前出の安田氏はネット右翼の傾向をこう分析する。

「ネットでの言論は『シンプルでわかりやすく、アグレッシブであればあるほど』受け入れられる。情報が正しいかどうかより、受けるかどうかのほうが大切なんです。加害者への加罰感情を爆発させ、賛同を得ることに快感を覚える。ネット右翼の人々の暗い情熱の向こうには、強烈な承認欲求があるんです」

 自分自身の「満たされない思い」のハケ口を、ネットの書き込みやデモへの参加に求める。そんな彼らの行動は、事件現場に近い人たちにとって、時に事件そのものよりも不気味な存在となる。

 中学校校門付近に住む70代女性が言う。

「週末に、日の丸をつけた大きな車で『日教組粉砕!』『いじめを許さない!』って拡声器で怒鳴ってましたよ。気持ちのエエもんやないね。孫が『ばあちゃん、犯人の顔見るか』って携帯電話の画面を突きだしてきましたよ。そんなもん、よう見ませんわ。

 ホンマに怖い時代です。人の心の悪いところだけが大きくなってきてるのと違いますか。パソコンは便利なものかも知れへんけど、得体が知れなくて、ホンマに気持ち悪いです」

 同じ中学校に子供を通わせる主婦も言う。

「親同士でも、誰々はマスコミに喋ったとか、すぐにメールが回ってきます。一応、輪に入っとかんと、知らないところで何を言われるかわかりません。インターネットに書き込まれてしまうかもしれない。当事者以外の人間も疑心暗鬼になっています」

 加害少年と名字が同じというだけで、ネット上に「祖父」として実名と勤務先の写真を晒された人もいる。

 ガセ情報をブログに晒して話題になったのがデヴィ夫人。「その方はまったく無関係でした」と後に謝罪をしたが、その後も「ニコニコ生放送」に出演してこう語っている。

「(加害者の)顔写真を出してもいいし、名前を出してもいい。過保護にしてはいけません。たとえ顔を出しても、5年もすれば忘れられます。加害者は被害者に万引きをさせたり、40万円も貢がせたり、ヤクザ顔負けです」

 デヴィ夫人に代表される「攻撃的な女性」をネット上では「鬼女」と呼ぶ。

「暇な主婦が事件について徹底的に調べて、情報をどんどん2ちゃんねるなどに上げる。彼女らが集う掲示板は『鬼女板』と呼ばれて注目されます。生活保護問題でも、次長課長・河本の自宅を突きとめた鬼女がもてはやされていました」

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