[MLB]
杉浦大介「イチローは“雇われのガンマン”か」

早くも気になる来季

電撃移籍したイチローはNYでもいちやく話題の存在になっている。Photo By ダミオン・リード

 7月23日の電撃的なトレード以降、ニューヨークではイチローへの歓迎ムードが途切れることなく続いている。ヤンキースがシーズン中に戦力補強を試みることは珍しくないが、10年連続オールスターにも選ばれた近代最高のヒットマシンを手に入れたインパクトは、ニューヨーカーにとっても大きかったのだろう。選手紹介の際などには、チーム内最大級と思えるほどの歓声を浴びることも多い。

 しかし、イチローがこうやってニューヨークで活躍する時代は、いったいいつまで続くのだろうか? マリナーズとの契約最終年にヤンキースに移籍しただけに、早くも来季以降の去就が気になるところだが……。

 もともと今回のトレードは、左ひじを痛めたブレット・ガードナーの今季中の復帰が絶望的になったがゆえにまとまったものだった。2010年は出塁率.383で47盗塁、昨季も自己最多の49盗塁をマークしたガードナーは、28歳という年齢もあってチームから、より重宝されてしかるべき存在である。ケガが癒える来季には、再び正左翼手として起用されることになるのだろう。

トレード成立直後は地元紙もそのニュースを大きく伝えた。

「ヤンキースが望んでいるのは、イチローが今季の残り数カ月間に渡ってハイレベルで活躍してくれること。それ以上は求めていないはずで、2013年もブロンクスでプレ—を続けることはまずあり得まい」。イチローの入団直後、「ニューヨーク・デイリーニューズ」紙のジョン・ハーパー記者はそう記していた。

「Hired Gun」という言葉がある。直訳すれば「雇われのガンマン」。MLBでは“短期限定のプランで、優勝を狙うチームにシーズン中に獲得される選手”のことを指す。今季で言えば7月31日のトレード期限前にドジャースに移籍したシェーン・ビクトリーノ、レンジャーズに獲得されたライアン・デンプスターらがこのタイプで、契約最終年の彼らが新天地に来季以降も残るかどうかは微妙なところだ。

 そして前記のハーパー記者が指摘する通り、イチローも「Hired Gun」のカテゴリーの中に含まれるのかもしれない。すでに38歳となり、昨季以来、成績ももうひとつ。そんなイチローが、長期的視野で役割を担う存在としてヤンキースから獲得されたわけではないのは事実だろう。