メダル獲得が有力視される3人は、こうして強さを積み重ねてきた 柔道ニッポン肉親・恩師が明かす「努力の天才」の育て方
さあ 開幕!ロンドン五輪

柔道クラブから贈られた横断幕を手にする両親。「初任給で私にバッグと手紙をくれるような自慢の息子です」と母は語った

海老沼匡

柔道同様、自転車にも夢中になっていた当時12歳の海老沼少年。スポーツ万能でスキーも得意だったという

「柔道にいったいどれだけおカネをかけたでしょうね。『安い家なら2軒買えたね』って冗談で言っているくらいですよ」

 ロンドン五輪・柔道男子66kg級代表の海老沼匡(22)の母・道子さん(52)はそう言って笑った。

 栃木県小山市で生まれ育った彼が柔道を始めたのは、まだ幼稚園に通う5歳の頃。柔道四段の父を持ち、二人の兄が先に柔道を始めていたため、柔道を始めるのは自然な流れだったという。しかし近所には道場がなく、兄たちと同様、家から離れた2つの柔道クラブに週3回ずつ通った。道子さんが続ける。

「おカネには苦労しましたが、私もパートに出て、会社員の夫と相談してずっと貯金を続けていました。匡は生後数ヵ月の頃から、私に抱かれて道場の空気を吸っていたものですから、柔道の雰囲気にはもともと慣れていたんでしょう。まったく嫌がることなく柔道を始め、どんどんのめり込んでいきました」

 父・時男さん(58)も柔道に熱中する息子を見て、最大限のサポートをした。

「匡が背負い投げの練習をできるように、段ボールに布を巻いて〝柔道人形〟を作りました。小さな体で夢中になって投げていましたよ。自転車に乗るのも大好きで、3歳から補助輪を外していました。『ボク、柔道で2回オリンピックに出たら、競輪選手になろうかな』なんて言ったりね。でも、やっぱり柔道が一番好きだった。柔道に関する本を与えると読み耽っていたし、小学生の時からは『柔道ノート』をつけていました。試合ごとに、どういう技で勝ったのか負けたのか、というのを細かく記録するんです。全部で6冊分にはなっているんじゃないでしょうか」