プロのギャンブラーから学ぶ"正しい判断"を下す方法
ニュー・サイエンティスト UK

 賭け事を生業にするようなギャンブラーは、素人とどこが違うのか?その秘密は「リスク」に対する意識にあった。

 投資や賭け事に限らず、私たちは人生を生きるうえで常に「リスク」を管理しながらさまざまな判断を下している。リスク学の専門家アリソン・ジョージ(以下AG)に聞いた。

――「リスク・インテリジェンス(以下RI)」という言葉を提唱されてますね。

AG RIとは確率を正確に判断する能力のことです。単純なことに思われるかもしれませんが、限られた情報量しかないときにどのように動くべきなのか、不確実性にあふれる世界でどのようにふるまうべきか、というのは非常に複雑な問題です。

 最新の心理学的研究によって、私たち人間は確率を正しく把握することが非常に苦手だということがわかってきました。一方で、世の中にはごくまれにRIが高い人が存在することもわかっています。

――どのような人がリスクを正しく把握できるのでしょう。

AG 競馬の予想屋、ブリッジのプレイヤー、ブラックジャックやポーカーなどのプロのギャンブラー、他にも気象予報士などに、リスクに敏感な人が多いですね。

 プロのギャンブラーたちは目立つことを嫌いますし、たとえ会うことができてもなかなかこちらを信用してくれません。それでも私はなんとか複数のプロのギャンブラーたちに信用してもらって、彼らの話を聞くことができました。

――プロのギャンブラーは素人のギャンブラーとどう違うのでしょう?

AG 当たり前の話ですが、プロは金を稼ぎ、素人は金を失います。両者ともギャンブルが大好きであることに変わりないのですが、プロは「いまは賭けるべきではない」という判断ができます。

 ダメなギャンブラーは、勝ったときには喜びを感じ、アドレナリンが分泌されるのですが、負けてもとくに何も感じません。しかしプロの場合は逆です。勝っても喜びをあまり感じないが、負けることへの嫌悪感が強い。だから自分の決定のどこが悪かったのかを絶えず反省して、改善の余地を探るのです。

――ブラックジャックで強いことが人生で役立つのでしょうか?

AG RIを高めることは人生のあらゆる局面で役立ちます。一つ確実にいえることがあるとすれば、「謙虚」になれるということです。RIの高い人の共通点は、自信過剰が失敗の源だと知っていることです。だから、とりわけ自分が得意ではない分野では謙虚になるのです。馬について抜群の知識があったとしても競馬では勝てません。馬と同じくらい自分自身のことを知らなければならないのです。