「イノベーションとはパクるもの」IT界の"異端児"ザンバー3兄弟

ブルームバーグ・ビジネスウィーク USA

2012年08月02日(木)

 既存の人気ネットビジネスを摸倣して、国際展開する―。そんな"違法コピー"まがいの起業術で、成功し続けるツワモノがいる。

 有望そうなネットビジネスを見つけては、それを摸倣したサイトを立ち上げ、世界展開して儲ける――そんな"違法コピー"もどきのビジネスモデルを、続々と成功させている人物がいる。それが、ドイツのベルリンを本拠として活動する、ザンバー3兄弟だ。

 ケルンで企業弁護士をする両親に育てられたマルク(41)、オリバー(39)、アレクザンダー(36)の3人は、1998年にそろって渡米。シリコンバレーのさまざまなIT企業でインターンとして働き、ビジネスアイディアの見つけかたや、資金収集術など、起業のノウハウを学んだという。

 そして99年に帰国すると、ザンバー兄弟はウェブオークションサイト「Alando」を立ち上げる。Alandoは、そのビジネスモデルからサイトデザインにいたるまでeBayのパクリのようなものだったが、すぐにドイツ国内で人気を獲得。なんと4ヵ月後には本家eBayによって5300万ドル(当時の為替で約63億6000万円)で買収され、彼らはドイツ初のネット長者になった。

 その後は07年にロケット・インターネット社を設立。現在は、同社を通じて起業や投資活動を積極的に行っており、その企業価値は時価10億ドルと見られている。

 これまでにザンバー兄弟がコピーしたネットビジネスは、じつに100件以上。その、シリコンバレーの"イノベーション精神"の対極をいくビジネスモデルには、もちろん批判も多く、ときには裁判沙汰になることさえある。

 だが、ザンバー兄弟のやりかたを賞賛し、彼らから学ぼうとする大手企業も存在する。たとえば、共同購入型クーポンサイトのグルーポンがそうだ。

 ザンバー兄弟が10年1月に立ち上げたグルーポンのコピーサイト「CityDeal」は、わずか5ヵ月間で欧州13ヵ国に進出。グルーポンは勝ち目の薄い法廷闘争をしかける代わりに、自社の株式14%を投じてCityDealを買収。そして、マルクとオリバーをグルーポンのコンサルタントとして雇い、46ヵ国への国際展開を成功させた。

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 グルーポンのアンドリュー・メイソンCEOは次のように述べ、彼らの実力に太鼓判を押している。

「アイディアを出すのは簡単だが、それをビジネスにするのは難しい。ザンバー兄弟は、まさに超人的だよ」

 オリジナル企業とコピー企業。トレンドが急速に変化するIT業界では、両者はできるだけ敵対せず、協力しあうほうが、互いに最大の成功を摑めるのかもしれない。

 

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