何が金メダル数を決めるのか!? ロンドン・オリンピックでの日本の金メダル獲得数を予測してみた
〔PHOTO〕gettyimages

 ロンドン・オリンピックが27日に開幕した。8月12日まで競技が行われる。筆者はスポーツが大好きなので、これから寝不足になる日が続きそうだ。そういう人も多いだろう。日中は暑く、オリンピックによる寝不足も重なる。健康管理には十分に気をつけたいものだ。とはいえ、どうしてもテレビに釘付けになってしまうのだが、オリンピックの醍醐味はなんといっても日本選手の活躍である。男子サッカーのスペイン撃破は日本選手団に勢いをつけたはずだ。

 昨年行われた世界選手権で、柔道、レスリング、体操、陸上の五輪実施種目と、女子サッカーのワールドカップで計12個の金メダルを獲得した。オリンピック前年の世界選手権の成績は、オリンピック本番の先行指標としてはすぐれているので大いに期待できる。それらの種目以外でも、セーリング、水泳などで金メダルが期待できる。

 日本オリンピック委員会(JOC)は、ロンドン・オリンピックでの金メダル獲得数世界5位以内を目標としている。これは最低でも15個以上必要な高いハードルだ。上に見たように、あれもこれもと個別競技を思い浮かべると「ひょっとしたら」という気分は高揚して、ワクワクしてしまう。ただ、筆者は、スポーツ解説をするには役不足なので、まったく違ったアプローチからロンドン・オリンピックでの日本の金メダル獲得数を予測してみよう。

金メダル数とGDP総額の相関係数は0.73

 何が金メダル獲得数を決めるのか。どの競技での金メダルなのかを考えなくてもいいということであれば、過去のデータから、その国のGDP総額でだいたいの数が決まるといっていい。じつはこれにはタネ本がある。

 米国で定番教科書になっているマンキュー の『マンキュー入門経済学』だ。それには、オリンピックにおけるメダル獲得数について、「世界クラスの選手を生み出す一国の能力を測る最善の尺度がGDPの総額であることを発見した。GDPの総額が大きいことは、それが1人当たりGDPの高さによるものであれ、人口の多さによるものであれ、より多くのメダルをもたらす」と書かれている。

 これは簡単にデータで確かめられる。2000年代における3回のオリンピック(2000年シドニー、2004年アテネ、2008年北京)で金メダルを獲得した国を調べてみる。そのうちGDPデータの国を見てみると、64ヵ国で総計873個の金メダルを獲得している。金メダル獲得数を縦軸、2000年代の平均GDP総額を横軸として、それぞれの国をプロットすると、下図になる。

 本コラムではこれまで似たような図を書いてきたが、おカネ総量の伸び率とインフレ率の関係のように、今回も右上がりの散布図だ。ちなみに、金メダル獲得数とGDP総額の相関係数は0.73と高い。

 なお、データを見ているとGDPの他にも影響を及ぼすものがわかる。マンキューの教科書にも「GDPに加えて、他の二つの要因もメダルの獲得数に影響を及ぼす。開催国は、通常、メダルを多めに獲得する。それは彼らが地元で闘うことから得る有利さを反映している。さらに、東欧の旧共産諸国は、GDPが同じくらいの他の国々よりも多くのメダルを獲得した」と書かれている。

 そこで、金メダル獲得数と、GDP総額、開催国かどうか、旧共産圏かどうかで回帰分析を行ってみる。すると、金メダル獲得数とこれらの(重)相関は0.84となり、メダル獲得数は、GDP総額、開催国かどうか、旧共産圏かどうかで決まるといってくらいだ。

 具体的には、金メダル1個に必要なGDPは1000億ドル(8兆円)、開催国だと金メダルは12個増え、旧共産圏は3個増となる。

 ただ、金メダル数とGDPの散布図をみると、日本は傾向線(赤い線)の下に位置し、国力(GDP)に見合った数の金メダルを取っていないことがわかる。韓国を含め他の先進国は傾向線の上になるのと好対照だ。これは日本のシステムが何らかの理由から他国よりうまくいっていないことを示唆している。

 それが何かはわからないが、国力を十分に生かし切っていないために、日本は金メダルを5個程度取り損なっている。もちろん今回のロンドン・オリンピックではうまくやってくれるだろう。国民としてはそう期待したい。

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