中国
北京を襲った集中豪雨は天災か、はたまた人災か!? 天怒(天の怒り)と人怨(市民の怒り)が渦を巻く中国の今後
北京市南西部の房山地区で起きた土石流による被害の様子〔PHOTO〕gettyimages

 「中国の最大の特徴は、一歩先が誰にも読めないことだ」

 私にこう語ったのは、中国の人気作家・余華だったが、まさにそのような天変地異が、首都・北京で起こった。

 7月21日午後から22日朝にかけて、北京市は建国以来最大の豪雨に見舞われた。降水量は541㎜! 北京の年間降水量は700㎜なので、わずか1日で、実に年間降水量の8割近くが降ったことになる。被害者160万人、緊急非難者9万7000人、死者77人、被害総額116億元、ひっくり返った自動車ン万台、流された自転車数知れず・・・。北京市の南半分は、阿鼻叫喚の地獄と化した。こんな恐ろしい天変地異を、一体誰が予想しただろうか?

地下鉄構内が水没するのでは・・・

 いや、実は私は予想することがしばしばあった。

 北京はそもそもあまり雨が降らず、慢性的な水不足に悩んでいる地域である。昨年冬は108日も降水ゼロが続いて、ヨウ化銀弾を1200発も北京の空に放って無理やり雨を降らせたほどだった。

 それにもかかわらず、朝起きてたまに窓外に雨音を聞くと、「やっ、慈雨だ!」とは思わず、逆にげんなりしてくる。マンション1階のエレベータホールへ降りると、もうその辺りから浸水が起こっているからだ。そしてマンション棟の出口から敷地の外へ出るまでのコンクリートは、一面水浸しで、管理人たちが、かったるそうにシャベルで水を掻き出している。

 だから雨の日は、敷地内のすぐ外にあるパン屋にも行けない。5元のパンを買うために、膝まで水に浸かって180元の革靴を犠牲にすることはできないからだ。

 だが、パンを諦めたからといって、ずぶ濡れにならずにマンションの敷地を出て地下鉄駅まで行くことは不可能なので、結局は膝下がびしょ濡れになる。駅まで着いて傘を畳む頃、どうせここまで水浸しになるならパンを買っておけばよかったと後悔したことが何度もある。

 東京では雨の日は傘を差し、頭上の雨脚に注意が行くが、北京では別な意味で頭上に注意する。なぜなら雨と同時に何が落ちてくるか知れないからだ。加えて同時に、足下にも常に目配りしていないといけない。ボケッとしていると、雨とともに地下深く流されてしまうかもしれないからだ。

 ようやく地下鉄駅に辿り着いても、そこにはゴーッという轟音が響いていて、恐怖心は嫌が上にも高まる。地下鉄の廊下の脇を、大量の雨水がぞんざいに地下へと流れていくからだ。「これでは地下鉄構内が水没するのではないか」とヒヤヒヤしたことも、一度や二度ではない。それでも地下鉄一号線はもっと別な危険に満ち溢れた地下鉄なので、乗車する頃には「ま、雨くらいいいか」という気持ちになる。

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