小泉元首相の進言で強硬路線に転じた自民党と『文春』スクープのダブルパンチに揺らぐ野田首相が「民主党の救世主」となるには?
ぶれない野田首相が危機を打開するには・・・〔PHOTO〕gettyimages

 延長国会の最大の焦点である消費増税関連法案参院採決を前に、自民党(谷垣禎一総裁)が野田佳彦政権との協調路線から強硬路線に転じたようだ。そしてそこには、何と小泉純一郎元首相の影が見え隠れするのだ。

 自民党最大派閥・清和会(町村派)の事実上のオーナーである森喜朗元首相が7月23日、地元での記者会見で次期衆院選不出馬を表明した。まさにその間隙を突くかのように、小泉元首相は石原伸晃幹事長を介して谷垣総裁に対し、内閣不信任案提出のタイミングを視野に入れ、消費増税関連法案否決を含む強硬路線を強く進言したというのだ。

 6月15日の民主、自民、公明3党合意を経て26日に同法案は賛成多数で衆院を通過、8月8日~10日には参院採決・可決が見込まれていただけに、野田官邸だけでなく自民党内にも波紋が広がっている。

増税法案の成立前に内閣不信任案を

 森元首相を始め、衆院社会保障・税一体改革特別委員会(理事長・中野寛成元衆院副議長)の筆頭理事として3党合意に尽力した伊吹文明元幹事長(志帥会・伊吹派会長)、谷垣総裁が所属する宏池会(古賀派)の古賀誠元幹事長、そして民主党の仙谷由人政調会長や藤村修官房長官にパイプを持つ麻生太郎元首相(為公会・麻生派会長)ら党内の長老クラスが、消費税増税関連法案成立と野田政権を衆院解散・総選挙に追い込むことは分けて対応すべきだと主張してきた。 

 それだけに、突然の小泉進言をめぐり揣摩憶測が自民党内を駆け巡っているのだ。兆しはあった。元首相秘書官の飯島勲氏が『週刊文春』連載コラム「激辛インテリジェンス」(7月12日号)で、谷垣総裁に対し小沢一郎元代表の離党・国民の生活が第一党結成など民主党内ゴタゴタ状況の中で増税法案の成立前に内閣不信任案を突きつけるべきだと煽っていた。

 飯島氏はいま小泉元首相とは疎遠な関係にあるとされるが、長きに渡って一心同体でやってきただけに同元首相の気持ちを十分に忖度することができるはずだ。事実、『文春』コラムのタイトルは「谷垣総裁よ、小泉なら小沢を利用して倒閣だ」であった。

 その『文春』のスクープ記事(8月2日号)「野田首相前後援会長は社会保障費21億円を詐取していた」は、参院審議の真っ只中のこの時期、野田官邸に手痛いものとなった。自民党が参院集中審議でこの「詐取疑惑」を取り上げるのは当然であるが、それよりも何よりも大きなダメージとなったのは、野田首相と同じ松下政経塾出身の河井淳一首相秘書官(政務担当)が「野田よしひこ後援会」前会長である寒竹郁夫デンタルサポート社長の「郁栄会」で禄を育んでいたという事実である。政治資金規正法違反の疑いが浮上する。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら