[ロンドン五輪]
グラスゴーの衝撃! 日本、スペイン下して白星発進

大津、値千金の決勝弾!

 26日、男子サッカー競技のグループリーグ(GL)が開幕し、グループDのU-23日本代表が同スペイン代表(欧州1位)と対戦した。日本は前半34分、FW大津祐樹(ボルシアMG)のゴールで先制する。この1点を最後まで守り切り、白星スタートを切った。日本は29日、2戦目で同モロッコ代表と対戦する。

◇グループD(グラスゴー)
U-23日本代表 1-0 U-23スペイン代表
【得点】
[日] 大津祐樹(34分)

 関塚ジャパンが世界に衝撃を与えた。南アフリカW杯、欧州選手権を制した世界最強国からの大金星。圧倒的にボールを支配されながらも、チームが一体となって耐え抜いた。

 戦前の予想通り、細かくパスをつながれた。A代表経験のあるGKダビド・デ・ヘア、オーバーエージ(OA)のMFフアン・マタらを揃えた相手に、日本は前線からプレスをかけてボールを奪いにいく。しかし、流麗なスペインのパスワークにボールに触ることさえままならない。さらに浮き球を競り合った後のセカンドボールもことごとく拾われ、序盤から押し込まれる苦しい戦いを強いられた。

 だが、日本守備陣は21日のメキシコ戦で見せたように、中央に人数をかけた守りでゴール前のスペースを消す。前半25分には、マタにシュートを許したが、打たれた位置はPAの外。シュートはGK権田修一(FC東京)が危なげなくセーブした。

 攻勢を強める相手に対し、日本の反撃はカウンターから。27分には、ピッチ中央でボールを奪った大津が左サイドへ展開。受けたMF永井謙佑(名古屋)が、中に切り込んでクロスを上げるが、走り込んできたMF山口螢(C大阪)の前でDFにクリアされた。さらに34分、再び速攻からMF東慶悟(大宮)が右サイドに抜け出してクロス。これがDFに当たってゴールラインを割り、日本がCKを得た。

 そして、このセットプレーから待望の先制点が生まれる。決めたのは大津だ。MF扇原貴宏(C大阪)のキックに、ゴール前で倒れこみながら右足で押し込んだ。劣勢だった日本のゴールに、満員のハムデン・パークが揺れる。世界を驚かすゴールを決めた背番号7は「気持ちいいゴールだった」と満面の笑みを浮かべた。

 日本が先制ゴールを奪ったことで、さすがの優勝候補も動揺があったのか。42分にはスペインが痛恨のファールを犯す。最終ラインのDFイニゴ・マルティネスが永井にプレスをかけられてボールを奪われたところを、PA手前で後ろから倒してしまった。レッドカードが提示され、一発退場。日本はリードした上に、数的優位に立つという願ってもない展開で試合を折り返した。

 しかし、後半のピッチに出てきた日本にもアクシデントが発生する。前半で左足を痛めた大津が、後半開始からMF齋藤学(横浜FM)と交代したのだ。ゴールをもたらしたヒーローの思わぬ交代で流れが変わらないか心配された。それでも、前半同様、前線からの激しいプレスは変わらない。スペインに攻撃を組み立てる余裕を与えないまま、大事な立ち上がりの時間を乗り切った。

 そして攻撃でも、カウンターから数的優位になって生まれた前線のスペースに次々と選手が飛び出し、チャンスをつくりだしていく。後半5分、東がPA手前でパスを受けると、ゴール右を狙ったミドルシュート。13分には永井、15分にも清武弘嗣(ニュルンベルク)がPA内左サイドに抜け出してシュートを放つ。しかし、いずれもゴールには至らなかった。

 再三の追加点のチャンスを生かせない日本に、またもアクシデントが発生する。26分、DF酒井宏樹(ハノーバー)が自陣でボールをクリアした際に左足首を負傷し、治療のためにピッチを離れた。一度はプレーに戻ったが、その後、自ら×印をベンチに示し、DF酒井高徳(シュツットガルト)と交代。貴重な交代カードの2枚を選手の負傷によって使うことになってしまった。

 だが、日本はそんなトラブルにも動じなかった。何とか追いつきたいスペインにサイドから仕掛けられるものの、DF吉田麻也(VVV)を中心にした最終ラインが中央に入ってきたボールをことごとくはね返す。

 34分には権田が魅せた。左サイドからPA内に侵入されてのクロスをはじきだすと、こぼれ球を狙ったマタのシュートも防いでCKに逃れた。そのCKは吉田が高い打点のヘッドでクリアし、難を逃れる。ベンチは終盤にDF山村和也(鹿島)をボランチとして投入。この山村も、相手に激しくプレスをかけて攻撃の芽を潰していく。そして、4分という長いアディショナルタイムも耐え抜き、見事、“無敵艦隊”を撃沈させた。

 試合終了の瞬間、ピッチ上の選手は両手を突き上げ、ベンチで勝利を見届けた大津は涙を流した。大津は試合後、「(ピッチ上の)選手たちが最後まで戦ってくれた。感謝したい」と喜びを口にした。彼の言うとおり、日本の選手たちは最後までハードワークを惜しまず、集中力を切らさなかった。前線の選手は90分間、積極的なプレスをかけ続け、守備陣はゴール前にスペースをほとんど与えなかったその意味で、日本は勝利するにふさわしかった。

 課題を挙げるとすれば、フィニッシュ精度の低さだ。特に後半は多くの決定機を逃した。GL突破には得失点差が明暗をわける場合もあるだけに、モロッコ戦ではゴールにこだわり、勝ち切るプレーが求められる。

 ただ、大きな1勝にも浮かれている選手はいない。扇原は試合後、「勝ったことはもう忘れて、次のモロッコ戦に向けて準備していきたい」と気を引き締め、殊勲の大津も「1次リーグを突破できるように、メダルを取れるように準備していきたい 」と次なる戦いへ気持ちを切り替えた。あくまで関塚ジャパンが狙うのはメキシコ五輪以来、44年ぶりのメダル獲得。その大きな目標へ、若きサムライたちが確かな手応えをつかんだ。