ホンダですら来年の決算予想が立てられない自動車メーカーの深刻な「震災ショック」
減産が続けば韓国やVWに市場を取られる
北米や新興国などの市場でシェアを失う懸念も(ニューヨークモーターショウのホンダブース) PHOTO:Getty Images

 「2011年度(11年4月―12年3月)の決算の合理的見通しを公表することは困難ですので、今日は10年度(10年4月―11年3月)の決算の発表のみといたします」

 ホンダは4月28日、10年度の連結決算を発表したが、その冒頭で、池史彦・取締役専務執行役員がこう説明した。

 通常、自動車メーカーは決算発表の際、次年度の売上高や利益などの予想値を発表するが、東日本大震災による影響があまりにも大きいため、決算の見込みすら立てらない状況にあることを吐露したのだ。

 大震災は3月11日に発生したため、2010年度の決算ではわずか20日程度の影響しかない。それでもホンダでは棚卸資産の減失など457億円の減益要因が発生した。フルにかぶってくる2011年度決算ではどれほどのマイナス要因が発生するか見通しが立たない、というのも理解できる。

緊急に2000億円をCPで調達

 同日発表した10年度のホンダの決算は、売上高が前期比4・2%増の8兆9368億円、本業での儲けを示す営業利益は56・6%増の5697億円。震災による457億円のマイナス要因を加味しても大幅増益を確保し、リーマンショック後の営業不振から完全に立ち直る傾向だったのに、ホンダほどの優良企業が11年度は見通しが立てられないほどの苦境に立たされているのだ。

 一部証券アナリストは、ホンダの2011年度の営業利益を7500億円と予想していたが、震災を機に2800億円と大幅に下方修正した。新興国を中心に売り上げは大きく伸びるチャンスがあるが、生産停止によって営業機会を損失することで大幅な利益減になるのだ。

 問題となるのがキャッシュフローをどう確保するかだ。ホンダも含めて自動車メーカーは大きな設備を保有し、多くの従業員を抱える。このため、操業率が低くても、必ず一定のコスト(固定費)が発生する。生産量は半減して売り上げが落ちても、社員の給料は減らすことはできないからだ。

 このため、給料や電気代などの諸々の支払いは手持ちの現金(余裕資金)で支払うことになる。普通の家庭に例えれば、お父さんの給料やボーナスが減った場合に貯金から子どもの教育費や住宅ローンを支払うのと同じことなのだ。

 ホンダは6月まで「5割操業」が続くうえ、多少回復しても通常の体制に戻るのがいつか見通しが立てられないため、1兆円近い余裕資金があっても資金繰り対策が必要になる。「今のところ手元資金は潤沢でも、この状態が続けば資金繰りがひっ迫しかねない」(池取締役)状況なのだ。

 しかも、東北地区にある系列の販売会社や部品メーカーは売り上げ回復の目途が立たない状況にあるため、「親」のホンダがある程度面倒をみなければならない。池取締役は「(取引先の)最悪のシナリオを調査している。もし、取引先が経営的に窮状に陥った際にはホンダが(支払いを猶予するなどの)個別対応しなければならない」と語った。

 こうした事態を受け、ホンダは28日の取締役会で緊急に2000億円をCP(コマーシャルペーパー)で調達することを決めた。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら