「増税実現ならばらまきOK」が財務省の本音。増税賛成の旗を振ったマスコミがいまさら批判しても所詮は"ポチの遠吠え"だ!
財務省の狙いは初めから消費増税実現のただ1点

 消費税引き上げ法案の参院審議が進み、いよいよ採決が近づいてきた。早ければお盆前の8月上旬にも採決され、民主、自民、公明3党の賛成多数で可決、成立しそうだ。衆院の解散時期をめぐる駆け引きから土壇場でひと波乱あるかもしれないが、基本的には増税を決めた後、秋に事実上の「話し合い解散」というシナリオが強まっている。

 それは次のような理由からだ。

 まず、野田佳彦政権はできる限り解散時期を遅らせたい。内閣支持率も民主党支持率も低迷している中、解散を急げば、衆院での過半数割れは避けられない。政権の座から滑り落ちるのは確実とみているからだ。

 野田政権に反旗を翻して離党した元代表・小沢一郎率いる「国民の生活が第一」も増税には反対しているが、解散・総選挙を遅らせたいのはこちらも同じである。選挙地盤が固まっていない新人、若手議員が多く、解散されてしまえば「再び永田町に戻ってこられない」と恐れている。

 ここは自爆覚悟で解散を迫れば、主張に迫力が出てくるのに「生活」の議員からは、どうも歯切れのいいセリフが聞こえてこない。背景には選挙に負けて議員バッジを失うより、時間を稼いだ方が得策という判断がある。

 いまは「政策を固めている最中」(「生活」幹部)らしいが、反消費税、反原発、反環太平洋連携協定(TPP)などと、すべて反対一色の主張を並べるようだと、支持は広がらないだろう。基本的に、政策とは「○○をします」という主張でなければならない。「○○に反対します」だけでは、せいぜい現状維持が関の山で、国の未来を描く話にならないからだ。既得権益も打ち破れない。

自己実現的に肥大化する官僚機構

 脱線した。自民党はどうか。

 自民党は解散・総選挙を求め続けていたが、実は増税実現も捨てがたい。なぜかといえば、民主、公明両党とまとめた「3党合意」で公共事業の大盤振る舞いが盛り込まれたからだ。増税が実現しないと、この話がパーになってしまう。

 まずは増税を決め、手にした財源を元手に2012年度補正予算と13年度予算でしっかり公共事業をばらまいたほうが選挙でも有利とみている。この筋書きは自民、公明両党と財務省との合作だ。

 3党合意は確認書で「財政による機動的対応が可能となる中で、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する」という文言を増税法案の附則18条に追加することを盛り込んだ。

 増税の本音はここにある。財務省は民主党政権ができる前から社会保障財源の安定化を増税の大義名分に掲げてきたが、本当の狙いは初めから消費増税実現のただ1点だった。

 当たり前の話だが、カネに色はついていない。国の予算では社会保障関係費が3割弱を占め、伸び率も毎年1兆円と大きいから「増税で得た財源は社会保障に充てる」と説明してきたにすぎない。しかも、年金や介護の財源なら「これは国民に還元するおカネです」という耳障りのいい話にもなる。

 財務省はなぜ増税を実現したいか。究極的に言えば、自分たち官僚が使える財布が膨らむからだ。懐に余裕がなければ、地方にも議員たちにもゼネコンにもばらまけない。それでは自分たちの既得権益が維持できない。官僚機構は自己実現的に肥大化する。政府の役割、仕事が大きくなって初めて、自分たちの権限も存在意義も高まる。増税は官僚がますます偉くなるために不可欠の仕掛けなのだ。

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