[ロンドン五輪]
なでしこ、カナダ下して白星スタート!

宮間、勝利導くヘディング弾

 25日、開会式(27日)に先駆けて女子サッカー競技のグループリーグ(GL)が開幕し、グループFの日本女子代表(なでしこジャパン、FIFAランキング3位)がカナダ女子代表(同7位)と対戦した。日本は前半33分、MF川澄奈穂美(INAC神戸)のゴールで先制。さらにMF宮間あや(岡山湯郷)が追加点を決めてリードを広げた。その後、1点を返されたものの、逃げ切った。日本は28日、2戦目のスウェーデン戦に臨む。

◇グループF
日本女子代表 2-1 カナダ女子代表
【得点】
[日] 川澄奈穂美(33分)、宮間あや(44分)
[カ] メリサ・タンクレディ(55分)

「(初戦を勝利して)自分たちが一番ホッとしている」

 MF大野忍(INAC神戸)の言葉がすべてを表していた。前半のうちに2点をリードする理想的な展開も、後半に1点を返されてからは主導権を握られる時間もあった。それでも、チーム一丸となって持ちこたえ、難しい初戦で勝ち点3を確保した。

 序盤は初戦独特の重苦しい空気に包まれた。日本はボールを支配するものの、相手のコンパクトな守りの前に決定機をつくりだせない。前半16分には、大野がFW大儀見優季(ポツダム)とのワンツーでPA内に侵入を試みたが、パスをDFにカットされた。また、試合前に散水を行った影響で、ボールが滑り、バウンドが伸びてパスミスになる場面も見受けられた。

 ただ、カナダにもリズムを掴ませなかった。ポストプレーから攻撃を組み立ててくる相手に対し、ボランチを含めた守備陣が冷静に対応。相手選手が前線でパスを受けると、素早く2人以上でプレスをかけてボールを奪った。試合はこう着状態に陥った。

 そんな状況を打破し、先制したのは日本だ。33分、川澄がゴールネットを揺らした。PA内左サイドで大野からパスを受けると、角度がない位置から右足を振り抜き、右サイドネットに突き刺した。川澄は完敗に終わった19日のフランス戦後に「アタッキングサードでのアイデアとシュートを打つ姿勢が必要」と課題を挙げていた。このシーン、大野は足の裏を使って巧みにパスを通し、川澄は中に味方がいながら思いきってシュートを選択した。アイデアと強引さがマッチしたゴールを佐々木則夫監督も「イマジネーションが素晴らしかった」と褒めた。

 このゴールで緊張が解けた日本は、連動したパスワークからカナダ守備陣を脅かす。39分には、川澄が左CKのこぼれ球を宮間へつなぐと、追い越しながらリターンパスを受けて左サイドからクロスを入れる。DF熊谷紗希がファーサイドで合わせようとするが、寸でのところでGKにキャッチされた。ゴールにはつながらなかったものの、完全に相手を崩した攻撃が見られた。

 主導権を握った日本は44分、キャプテン・宮間がカナダを突き放すゴールを決める。左サイドのDF鮫島彩(仙台)からのクロスに、頭で合わせた。高く上がったボールに相手DFとGKが落下点を見誤る中、宮間のポジショニングが光った。

 2点をリードし、最高のかたちで試合を折り返した日本は、後半もボールを支配。6分には決定機を迎える。中盤でのパスカットからのカウンター。大野のPA手前からのシュートがDFに当たってこぼれた球を、川澄がゴール前に頭で落とす。反応した大儀見がGKをかわしてシュートを放つが、惜しくもゴールライン上でDFにクリアされた。

 試合を決める絶好のチャンスを逸した日本は、4分後、逆にゴールを奪われてしまう。DFリアン・ウィルキンソンに右サイドを突破され、クロスをファーサイドから走り込んできたタンクレディに右足で押し込まれた。DF近賀ゆかり(INAC神戸)が対応したものの、うまく前に体を入れられてしまった。カナダにとっては後半初めてのシュートで1点差に詰め寄られ、前半終了時の楽勝ムードがウソのような緊迫感がスタジアムを包んだ。

 日本は変わらず高いポゼッションを誇るものの、息を吹き返したカナダの激しいチェックに遭い、なかなかボールを前に運べない。そんな19分、ベンチが動く。疲れが見え始めた大野に代えてFW安藤梢(デュイスブルク)を投入。あくまでも攻めの姿勢を崩さない意図がうかがえる交代だった。だが、ゴールが遠い。33分には、安藤がPA内中央でシュートを放つも、相手DFのブロックに阻まれた。

 試合を決めきれない日本だが、守備陣は失点以降、冷静さを取り戻した。ゴール前をコンパクトに守ることで、相手が入り込むスペースを消した。加えて40分には、カナダの選手が負傷退場。カナダはすでに3人の交代枠を使い切っていたため、終盤を数的優位の状況で戦えたことも幸いした。日本は残り時間で無理に攻めず、ロングボールを入れたり、ボールをキープする戦法にシフト。3分間のアディショナルタイムも集中力を切らさず、1点差を守り切った。

 試合後、佐々木監督は「第1戦は非常に難しい。そういう意味で本当によくやってくれた」と選手たちに賛辞を惜しまなかった。磐石の勝利ではなかったが、初戦をしっかりと勝てたことは大きい。これで次のスウェーデン戦を勝利すれば、決勝トーナメント進出はほぼ確実だ。カギを握るのは中2日しかない強行日程でのコンディショニング。少しでも疲労を軽減した上で試合に臨みたい。

 指揮官は最後に「我々は世界王者だが、五輪のチャンピオンではない。チャレンジャー精神を忘れずにやっていきたい」と気を引き締めた。勝って兜の緒を締めよ。なでしこジャパンが“挑戦者”として、まずは金メダルへの第一歩を踏み出した。