金丸祐三(大塚製薬陸上競技部)<Vol.4>「大邱からロンドンへ」

課題は200~300m

 ロンドン五輪が近づいてきた。世界の舞台で予選突破、そして大きな目標として掲げる決勝進出には何が必要なのか。
「いろいろありますけど、現段階で言えばスピードですかね。単純な速さではなくて、400mを走る上でいかに高いレベルでスピードを維持できるかが大事だと考えています」

 そのためには「300mまでに90%以上の力を使い切るレースをすること」が理想だと金丸は語る。300mまでを高いスピードを維持して走りぬき、ラスト100mは余力を振り絞って、動かない体をテクニックで補い、ゴールに到達する。

「ラスト100mでいかに速く進むか、常にいろいろ試しています。腰を引いてみたり、ピッチをあげてみたり、重心の位置や腕の振りも変えて、極限状態でも体が前に進む方法を模索しているところです」

 ポイントになるのは200m~300mの走りだ。本人も「そこが一番ネックで苦手としているところ」と明かす。7連覇を達成した昨年6月の日本選手権でも、200mの入りはスムーズだったが、200m~300mで減速した。一方、同年5月に優勝した大邱国際選手権では200~300mで踏ん張ったことで、ラスト100mの逆転につながった。世界を相手にするレースでは、この区間の走りが「肝になる」と考えている。 

 金丸を指導する法大・苅部監督(写真左)は「今の力では決勝に行けるか微妙なところ」としながら、世界の強豪との戦いで秘めたるポテンシャルが引き出されることを期待している。

「能力的にはもっと出し切れると思うんです。彼の良さはキャッチング(着地)や蹴り出しのうまさといった技術面に加え、気持ちにある。400mを全力で走るきつさは経験した者でしか分からない。言葉で表現できないくらい苦しいことなんです。普通の人間なら体が勝手に制御してリミッターがかかるのを自ら断ち切って走れる。これは天性のものです」