これからの日本に必要なのは"社会の課題を解決する商品"だ! ~日産「リーフ」と「タウンEV」にみる電気自動車の可能性
〔PHOTO〕日産自動車株式会社

 日産自動車が今夏、同社の電気自動車(EV)「リーフ」のユニークな販売促進を始めている。名付けて「リーフ to ホーム」。「リーフ」の動力源であるリチウムイオン電池にお得な夜間電力や太陽光で自家発電した電力を蓄電し、昼間の電力需要のピーク時には車載電池に蓄えた電力を使えるシステムを開発、地方自治体と連携し、抽選で選ばれた希望者にリーフとシステムを一定期間無償で提供するという企画だ。

 電子機器関連の「ニチコン」(本社・京都市)が開発した、エアコンの室外機程度の大きさの「EVパワーステーション」をリーフと繋ぎ、それを住宅の分電盤に接続させ電気を送るシステムだ。日産は「こうしたシステムは世界で初めて」と説明している。

 EVは1回の充電による走行距離が短いことなどから現時点では自動車の「本流」とは言えず、「リーフ」の売れ行きも好調とはいえない。しかし、日本は原発問題を機に節電が大きなテーマとなっている。社会の課題を解決すれば、ビジネスチャンスにつながるのはどんな産業でも同じだ。日産は「リーフ」を「節電商品」と位置付けて拡販を狙う。

非常時のバックアップ電源としても使える

 まずは7月3日、大阪府・大阪市と連携し、官公庁施設向けに50台、一般向けに250台の「リーフ」と「EVパワーステーション」のそれぞれ無償提供を開始すると発表。日産の志賀俊之COOは大阪市内で記者会見し、「ピークシフトに貢献する新しいシステム」と語った。

 一般向けは専用ホームページで7月16日まで希望者を募った結果、約2900件の応募があり、抽選で当選者を選んだ。来年3月末までの無償提供の期限が終った後は、「リーフ」については①買い取り②延長リース③返却の3つの選択肢から選ぶ。「EVパワーステーション」(32万7000円)については希望者には進呈する。無償提供期間中でも損害保険や登録のコストは利用者が負担する。

 大阪府・大阪市につづいて同様のスキームで北九州市(募集は終了)、佐賀県(同)、福岡県(募集は7月26日まで)、京都府・京都市(募集は7月31日まで)でも公共施設と一般向けに無償提供を開始した。

 この「EVパワーステーション」を使ったシステムは、停電時や非常時のバックアップ電源としても使えて一般家庭の消費電力の約2日分を供給できるほか、「リーフ」に標準装備された充電器の2倍の速度(約4時間)で充電できる機能も持つ。「インテリジェント機能」も付いており、充電時間をタイマーで設定できたり、電力会社との契約アンペアを超えないように「リーフ」に充電したりする機能もある。

 国内で全世帯の1割にこのシステムが行き渡れば、ピーク電力の節約効果は450万キロワット分にも及ぶというから驚く。100万キロワットの発電所4基分に当たる。

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