「自民党的政治」からの脱皮なくして政権奪還はあり得ない! 自民党は国民に見限られた原因を直視して変わらなければならない

 永田町ではいよいよ解散・総選挙が近いのではないか、というムードが強まっている。私は現在、自民党では報道局長という役職で、毎週役員会でメディア各社の世論調査の結果などを報告する役回りを担っている。ここ数週間の各社の世論調査の数字を見ていて、非常に危機感を覚えているのだが、残念ながら自民党内には楽観ムードが漂っているように感じられる。

 私の言う危機感とはこういうことだ。

 テレビ、新聞、通信社11社の世論調査の平均値をみてみよう。昨年9月の野田佳彦内閣発足以降、民主党の支持率はほぼ一貫して下げている。26.0%だったものが、消費税増税法案が衆議院を通過した6月末には14.5%に下がっているのだ。

 本来なら、民主党の支持率がこれだけ低下すれば、野党第一党である自民党の支持率がその分上がってもおかしくない。ところが、この間、自民党の支持率も下落傾向なのである。同じ平均データでは、昨年9月に26.1%だった自民党の支持率は、6月末には16.9%になっている。

 民主党の支持率低下の理由は容易に想像できるだろう。国会論戦を通じてマニフェスト(政権公約)の破綻が鮮明になるなど、民主党の酷さを国民が認識した結果であることは間違いない。だが、自民党がその「受け皿」に全くなっていないということを、数字は如実に物語っているのだ。

 さらに細かくみると、2月から6月の消費税増税法案通過までは自民党の支持率がわずかながら上昇傾向にあった。民主党も4月から6月までは支持率をやや戻している。消費税増税は辛い政策だが、いずれやらなければならないと思っている国民が多いのだろう。「決められない政治」から一歩踏み出したことを評価したのかもしれない。

 ところが、消費増税法案通過(6月26日)後から7月中旬にかけての数字を見ると、両党の支持率は急落。ことに民主党よりも自民党の支持率低下が目立っているのだ。それも、民主党よりも自民党の方が下げ幅が大きい、というケースの方が多いのだ。

 谷垣禎一総裁も記者会見で「自民党と民主党が裏で談合して増税などを決めているように見られているのではないか」という趣旨の発言をしているが、まさに自民党への不信感が支持率の低下の深さにも幅にも表れているように思えてならない。

「古い自民党政治」とは明確に決別する

 これまで自民党は、国会審議の過程で、「民主党がいかに酷いか」という点を追及する内容の質問を中心に民主党内閣を攻撃してきた。だが、民主党よりも自民党の方が下げ幅が大きい、という直近の世論調査結果に表れているように、国民の目から見れば、民主党の酷さは分かっているが、それでもまだ民主党は新しく、若い政党として将来の可能性を感じさせる分、旧世代政治家が復権し、55年以来のいかにも古臭い政治が再び台頭してきている事を感じさせる自民党よりは、まだマシだ、と見ているように感じる。

 自民党が民主党批判の受け皿になるには、相手のマイナスを強調しているだけでは到底無理だろう。新しい自民党が何をやるのか、今日本にとって何が必要と考え、どのように実現しようとしているかを、国民に明確に示さなければならない。消費税増税を唱え、民主党の社会保障制度改革案の中身の無さを訴えるだけでは、国民に「自民党も民主党も一緒ですね」と見られてしまう。

 ただ、その前にまず真っ先に自民党が行うべきは、なぜ3年前の総選挙で、国民から見捨てられ、政権交代となったのか、もう一度原点に立ち帰ってよく考え、その根本原因をなくし、新たな政党に生まれ変わる事だ。国民の多くは、かつて「もう見たくもない」と思われた「古い自民党政治」とは明確に決別し、全く新しい政党にフルモデルチェンジした事をまず示してほしい、と思っているはずだ。それに応えるためには、党改革による「自民党的政治」からの脱皮が必須だ。

 そして、続いて国民に示すべきは、これまた「自民党的政治」の延長線上にあった、古めかしい国家統治スタイル、すなわち国家の意志決定メカニズムの転換だ。それは同時に、自民党と霞が関官僚機構との距離感と関係性であり、天下りを含め、霞が関とどのような新しい関係を結んで国家運営をするのか、そのための具体的な公務員制度改革や行政改革の提案を通じて、この点を明確にしなければ、その他分野での具体的政策提言をいくらしても、国民は自民党に全く見向きもしないだろう。

 この入り口での国民によるテストにパスして、初めて自民党は再び政権を任せられる政党としての認知を受けることとなるのだ。そして、そうした「新生自民党」が再度政権を担うならば、「一体私たちの暮らしをどうしてくれるんだ」という国民の次の問いかけに、自民党は明確に答えなければならない。

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