企業・経営
世界一の営業利益は過剰な公的支援の結果なのか? 経営努力で公的支援の成功例を目指すJALを再び「政治家の玩具」にするな

戸崎肇(早稲田大学アジア研究機構教授)
〔PHOTO〕gettyimages

 この秋の再上場を目指している日本航空(以下、JAL)は、2011年度に2,049億円の営業利益を計上した。航空業界において金額ベースで世界一というこの実績を受けて、一部の政治家・マスコミ・有識者から「JALが公的支援を受けたことで、不公平なマーケットになっている」ということが言われている。

 しかしながら、JALの更生計画の策定時期ならともかく、この時期になって、そういった「不公平論」が出ることに大きな違和感を覚える。

更生計画の申請直後は2次破綻の声さえ出ていた

 そもそも、経営破綻した企業に対する公的支援の目的は、その企業がなくなれば国民利便の毀損が大きいと想定される場合に、その毀損を極小化することである。

 JALの場合は、2010年1月19日、会社更生法を申請した。同時に前原誠司国土交通大臣(当時)が「日本航空は、わが国の発展基盤である航空ネットワークの重要な部分を担っておりますので、同社が再生を果たすまでの間、必要な支援を行ってまいります」との声明を出した。JALがなくなることによる国民利便の毀損が大きいと判断し、政府による支援を決定したのである。

 公的支援の規模は、現在議論されている通り、競争環境の公平性担保や公的支援をする意味合い、破綻企業の大リストラを前提に、企業再生に必要な最低限のものとされるべきである。

 実際、公的支援企業に対する条件付与のガイドラインとして最近よく引用されるようになったEUガイドラインは、EUのように単一市場に複数の加盟国が存在する場合、公的支援の規模が必要最低限を超えないようにする(=過剰支援を防ぐ)ためという側面が強い。

 ではJALの場合はどうか。2010年後半の「更生計画(以下、計画)」の申請・認可前後は、脆弱な収益体質・財務体質に対して公的支援の規模が小さく、マスコミや有識者から二次破綻を懸念する声が多かった。そのことを踏まえれば、JALに対する公的支援の規模も決して過剰ではなく、必要最低限だったと考えられる。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら