オリンピック
オリンピックに出るのと東大理Ⅲに入るのはどっちが難しい?五輪アスリート、プロ野球選手、それとも東大医師・・・「子供の将来に対する投資」として最も得する選択はなにか
北京オリンピックの日本選手団〔PHOTO〕gettyimages

 ロンドンオリンピックの選手団は選手293人、役員225人の合計518人だ。役員比率が43.4%とばかばかしいまでに高いこと、役員の座が利権化していることなどが批判されているが、しょせん、現在の日本はそのような国なので、今、この問題は取り上げない。

 注目するのは、選手数のほうだ。日本が派遣する選手数は、1996年のアトランタ大会に310人、シドニーで286人、アテネで312人、前回の北京に339人と、毎回約300人前後のになっている。

 オリンピックには、日本で商業的に最も成功しているスポーツである野球が含まれていないし、サッカーも頂点には位置づけられていない。しかし、この300人は、日本のアスリート界の頂点近くにいる人々だと考えても、大きな異論は出まい。

東大医学部に入るのと同等の狭き門

 果たして、オリンピック選手になるのは、どれくらい大変なことなのだろうか。

 読者には、大学受験経験者が多かろうと勝手に前提して、その苦労を大学受験と比べてみる。物事を単純にするために、日本には、勉強熱心な子供(好きではないが熱心な子もいるだろう)と、スポーツが好きな子供(多分、好きで熱心なのだろう)が半々いるとしてみよう。

 東京大学には、毎年3千人台の合格者がいる。オリンピック選手の10倍だ。東大の入試は毎年あるが、オリンピックは4年に1度しかない。つまり単純に考えて、オリンピックに出ることは、東大に入ることの40倍以上難しい。東大には、勉強嫌いでなければ、凡人でも努力と要領で入れそうな気がするが、オリンピックは明らかにそのレベルではない。

 甲子園球児と比べてみる。野球少年の母数と、難関校の大学受験生の母数が問題になるが、これを無視すると、仮に甲子園に出る高校が年間60校あるとすれば(夏の大会が49校で、選抜が32校。両者に重複があるので60校と考えてみた)、ベンチ入り選手は18人だから、年間1080人が甲子園球児になることができる。

 選手に重複(1人で複数学年にわたり出場する選手)があるので、もう少し狭き門になるかもしれないが、甲子園球児になることは、東大生になることのざっと3倍は難しいことになる(少なくとも東大出の3倍以上の希少価値がある!)。

 同じ東大でも、並みの学部ではなく、理Ⅲ(医学部に進学できる)ならどうか。こちらは、年間90人の合格者枠だ。それでも、4年間あれば360人。つまり、生まれたての子供をオリンピック選手に育てようと思うことは、その子を勉強させて東大の医学部に入れようとすることと同じくらい難しく大変なことだと考えるべきだろう。

 オリンピック選手の希少価値にイメージが近いのは、プロ野球の一軍選手だ。各球団28人の一軍登録枠で、12球団あるから、現存が336人とオリンピックに派遣される選手数に近い。この場合も比較には、競技人口の規模が問題になるが、細かい話を抜きにすると、オリンピックに出ることは、プロ野球の一軍選手になることと同じくらい大変だと思うべきだろう。

 ちなみに、プロ野球選手の平均選手寿命は9年といわれている。336人を9年で割って、一年間に一軍の座を得る人数は37人(端数切り捨て)と計算できる。プロ野球の一軍選手は、一年に90人いる東大理Ⅲ合格者に対しても3倍近い希少価値がある。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら